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小さな世界 > 第5章「知られざる」

これからのこと

竹流「ラ・カンパネラ」とか好きですねぇ。
ありますかね」

すっかり落ち着きを取り戻した鴻日。
鴻日「ありますね」

カチャッ

♪ ♪♪♪
♪ ♪♪
♪♪


ポケットに手を突っ込む鴻日。
「宜しければ後で、夕食、一緒にどうですか?」

花宇「(ご一緒しませんか、って言わない)」
細かいところが気になる花宇・・・


まさかあの時の方のパートナーの方だったとは。
と鴻日。

竹流「僕は寝ちゃってましたからねぇ 疲れてたのかな?
あん時ですよね?シュンちゃんが色々」

シュンユーが鴻日を「G層の秘密管理人」にした時のことを話している。
客室にて参照)


ええ、と優しい顔の鴻日。

花宇と竹流が座っているソファーの向かい側に座る鴻日。

非常に不躾(ぶしつけ)ですが
おふたりとも高い位におられるようですね。

先程の緊張はそのためですよ、というような顔をする鴻日。

・・・
竹流「人は、高いとか低いとかありません。たまたまそこにいたというだけで」


誰だ?という顔をする鴻日だ。
声が少し幼い。

「高ければそれはいいかもしれないけど、G層にはG層の良さがあります。
G層住人なら絶対にそれを分かって下さい」

花宇も鴻日も息を飲む。

「それぞれの良さがあります。優れてるとか劣っているとか
それ自体『存在しません』」

・・・

もしも
あるならば、位などが。
鴻日「(こういう存在が高い位になるのだろうな)」

遠い日の、まだ青年だった頃の水辺の思い出を思い出す鴻日。

優しい人が幾人か、そして『鴻日は生まれつき遺伝子そのものが優れているんだね』と
ニッコリ笑っていた、僕の、、

花宇「鴻日さん?」

下を向いて黙り込む鴻日に声を掛ける花宇。


ハッ

竹流「あれ?確認なんだけど。これでG層への背骨の、、
手続き?は終わったの、かな?どうなんだろう」

カチャッとティーカップを置く。
ミント味はあまり好きではないらしい。

あっ
花宇が声を上げる。

花宇「い、いえっ、私には『妃羽さん』を大切に、、
お幸せにするお仕事があります」

鴻日「―・・・」

ラ・カンパネラの他ないかなーと小さな声で言ってそわそわする竹流。


えっえっと
花宇は下を向いて話した。

「あ、あの
主、の意思を感じました。妃羽さんに良い?魔法を掛けるみたいな。
私ここに残って、それで少しでもお助けしてくて。
差し出がましいようですが・・・」


A層からはじまり、G層まで来た。
糸としての役割がGまでようやく到達。

後は新しくD層の秘密管理人として任命されるナイトライド氏と
接触しなければならない。


花宇「(どうせ最後に『主の意思』を感じた私がB層のシュンユーさんに力を貸して、、
妃羽さんに魔法が掛けられる)」

紅茶にずっと手を付けていない花宇。
・・・

花宇「(魔法でどうにか、なんて間違ってる。結ばせてあげたい。
自然に・・・
上から目線な言い方だけど)」


竹流「あれ?あとD層だけだよね?
あのアホな人」
新しく任命される『秘密管理人:ナイトライド氏』のことを言っているようだ。

相当親しいのだろうか。


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もともと、G層は2100万人だった。
21、は『完成』を表す数字で、全ての調和が取れている理想の世界として
主が創った。

のに、自信の無さがたくましいハングリー精神を生み、どんどん強くなっていき。
そして身を寄り添いあうために「家族、血族の絆」が濃くなりすぎていき・・・
どんどん人は増えていった。

且つ、自信の無さゆえの渇望からくる愛の求めの欲望が強く、
そのための人口増加も著しくなってしまい・・・

増えた人口の食料を作るため、食料を作る人口も必要になってしまい。


竹流「増えすぎたな おい」

目が点になる花宇と、ボードに(かなりすごい字で)書かれている竹流の説明を見ている鴻日。


竹流「ま、僕はね、増えすぎるのはいいと思うのよ。
問題はね、何て言うのかな。うーんとあれなんだよね。
えーと、『何かある』ってことなんだよな」

G層の異変を、言っているようだ。


あれですよ。
増えるのはいいんだけど、増え「過ぎ」るのはどうかってことだよね。

竹流はお手洗いに行く振りをして七匹狼を堪能しに行った。


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第5章「知られざる」:目次

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