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小さな世界 > 第5章「知られざる」

ウグイスの語らい

A層は現実。

B層の『シュンユー』が魔法を使う。

Cの背骨が『清子』、糸も清子。

Dの背骨が『愛花』。事情により『ナイトライド氏』になる

E、Fの背骨は存在しない。

Gの背骨は『鴻日』


糸を通した後、
諭弦の言っていた「主の意思を感じ、『シュンユー』を助ける」
のが花宇のやることであった。


掛ける魔法が途方も無く難しいため、シュンユーを助けるために
A層の魔法使い『竹流』がやって来て、

それでも足りないために「糸を通した清子」が助ける・・・
はずであった。


ジェムストーンについて竹流は語る。

「何だっけ。そう。妃羽さん。がジェムストーンなんだよね?
で、ジェムストーンていうのは『触媒(しょくばい)』っていう意味で、
魔法を使うと力が強くて何かが壊れちゃう、力が強くて。
魔法を使った時の衝撃をジェムストーンに請け負ってもらう訳だ」

ガタッ
花宇が立ち上がった。
「待って下さい。
てことは、触媒・・・である妃羽さんは?
(壊れちゃうの?)」

・・・


・・・

下を向く竹流。


ラ・カンパネラの音がうるさく感じた鴻日が、スッと立ち上がってレコーダーの所に行った。


やっと口を開く竹流。

「ちょっとややこしくてね。
まぁ、ふたつある訳だ。
・・・
ひとつは「G層を現実にする」、
で、ふたつめは「妃羽さんを幸せにする」
・・・うん」

「妃羽さんは大丈夫。
ただ、ちょっと言えない事情があってね」
もごもごする竹流。

本当に困っているようである。


そうだ。丁度いい。
あさっての方向を見ながら竹流は脚を叩いた。

彼は語った。

ジェムストーンである妃羽さんの『質』を高めて欲しい。と。

1、世界の知識を適度に知っている
2、適度に知らない
3、適度な精神主義
4、適度な物質主義


これら↑で、ジェムストーンの質が高くなるのだと。

竹流「今ね~バグが起こっているんだよね~」

・・・
あっ
花宇「(だから、妃羽さんの『愛』に支障が・・・)」

何かの力が妃羽に襲い掛かっているが、(ジェムの質を良くするために?)
妃羽が無意識にその力に抗っている。
=その結果が愛の欠落、過剰な精神主義

になってしまっている・・・ということを悟る花宇。


鴻日「・・・『月光』にしました」


竹流「そういえば、暘谷さんて月光がお好きなんですよね?」

鴻日「ええ」
ん?という感じで答える鴻日。

不思議ですね
「G層は一番音楽が届きにくい場所なのに、音楽のこと、深く興味があるっていうか
音楽に深い何かを感じているっていうのが」

確かにそうなのだ。

主の心、『森林』を歌ったのが『シュンユー』。

シュンユーの歌った声を一番感じたのが、シュンユーのB層のすぐ下のC層の存在たち。
それなら、一番下のG層が一番『森林』の良さを気付きにくくなるはずなのだ。


花宇「でも、威俐様も、『森林』好きですよ」

最初に妃羽が弾いた『森林』をそのまま「お香」にして焚いた威俐。
暘谷、初登場時の「お香」はそれであった。

そしてそれに何かを気付いた暘谷。

妃羽の誕生日に『森林』をオルゴールにして送った彼。


「主、の何かを感じやすいのでしょう」
優しく言う鴻日。

月光、も何かの意味があるのだろうと考える。


少し夜がふけた。

(世間話をして緊張感がなくなった)
(竹流が来るといつもこう)


竹流「まぁ、D層に行こうと思ったら私を呼んで下さい。
呼び方はそうだなぁ。あ!彩海さんが感じるだろうから・・・
彩海さんに教えてもらえば。まぁじゃあそういうことで」


コンコンッ

ふたりが窓の方に振り向くと、もうウグイス姿になっている竹流が窓を叩いていた。


「じゃ。そういうことで」

ぴゅーん・・・と垂直に空へと飛んで行った。


いきなり暗くなる空。

花宇も鴻日も。
立ち尽くしていた。



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