小さな世界 > 第6章「休息」
ゆらぎ
『だから。何』
威俐の言葉。
妃羽は頭がくらくらした。
お金を愛より大切にしている上つ方。
その中にいる威俐。
彼への愛が、分からなくなっている。
君なんていくらでも手許に置ける、みたいな言い方。
どうして・・・
私のこと「ひと」として見ているのではなかったの?
『力』が無かったら私はあなたを・・・どう思っていたか分からないのに。
・・・結局「もの」なの。
手許に置ける、「もの」?
壁に手を付いて妃羽は倒れそうになった。
頭がじんじん痛むのを感じる彼女。
「(「ひと」として見るようになったのも『力』のせい?
『力』が抜けたら、本性が・・・。
・・・あの人の本性は「もの」として人を見る人・・・?)」
うっ
手で口元を覆う妃羽。
「(何て汚い、、こんな物質主義な世界、厭!)」
ふわん。。
シーツの良い香りがした。
あっ
花宇「ふぇい、、妃羽さん?あ・・・」
懐かしい声がした。
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<休憩室>
妃羽との話は休憩中でなくても免除される。
花宇「今日はとっても良い天気で。
シーツの香りもふわ~んてしてて」
プスッ
妃羽は目の前のマシュマロに爪楊枝を刺した。
「シーツ、ライト・グリーンにしたのよね」
「はい。どうやら、『森林』をイメージしたもののようで」
・・・
「(なるほど)」
ふむ、と思う妃羽。
ハッ
「(この前紙に書いたものの確認をしなきゃ)」
「あの、実はですね・・・」
花宇「え・・・」
花宇の握っていたフォークがカチャン.....と小皿に落ちる。
♪~♪♪ ♪♪ ♪
かすかに流れているクラシックが静寂を通って行く。
妃羽「ちょっと、自分の気持ちが分からなくて。
距離を開けたい・・・って」
ガタッ
小さく席を立つ花宇。
「だ、だって幸せなんですよね?好きな人と・・・
幸せなんですよね?」
必死に言ってしまう花宇。
右手を口元に当てて、戸惑ったように言う妃羽。
「分からないの・・・。もの、のように人を扱うあの人・・・
もので人を操るあの人」
・・・
花宇は取りなした。
「あ、実業家には有ることです。
お金は大切ですし、そうじゃないと成り立たないって言うか。
決してそれが悪いという訳ではなくて・・・
あ、その。役割、と言うか」
遠くの花瓶の花が小さく揺れた。
風が吹いた訳でもないのに。
うずうずしてどうしようもなくなったが・・・。
「あ、あの」
メモの3番目、ジェムストーンの確認をしようと、注意深く妃羽に確認する花宇。
妃羽「世界については、威俐様とユウ、、あ、いえ。から聞いたわ。
あと正樹さんからも・・・」
精神主義も物質主義も恐らくバランスが取れているだろうと妃羽。
威俐への不信感で、精神も物質もスカスカの状態になっているかもしれない。と言い、
そう言った意味でバランスが取れている・・・と言った。
花宇は目の前が真っ暗になった。
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妃羽が麦藁帽子と日焼け止めを持って行って庭園に出たのを見計らって、
花宇は威俐にアポイントを申し入れた。
花宇「(独立した人間になったら、余計自然に寄り添い合うようになると思ったのに。
・・・これじゃあいつまでもふたりを見届けて、D層に行くこと、なんて出来ないよ)」
おばあちゃん・・・
均『・・・』
まだ未練のあるような、諦めているような
悲しい顔。
どうして?
どうして?そんな悲しい顔ばかりしていた。
清子『今からでも間に合う!おばあちゃんはまだ若いの!
これからだよ!』
ドン引きされながら言った、あの日の・・・思い出。
好きな訳じゃないの。
嫌いな訳でもないでしょ。
私のおばあちゃんだもの
何もかも、含めて、大好きだよ。
だからね、絶対約束守るよ。
そっけなくされても・・・


