短編集Tanpenshu
悠久を織るWeaving eternity
- 第5話:イヌ
情報の最先端を常にキープ。の悠悟と
最新版て最高よね!でも古いものも・・・しんみり。の彩織。
夏祭りに行く途中に、悠悟と彩織はコンビニで百歳茶を買った。
「見てこれ。イヌ花火・・・」
イヌの形をした花火が売っている。
・・・
彩織「ゴールデン?」
たこ焼き(顔が描いてある)を食べながら聞く彩織。
悠悟「ネコ忍者の他にゴールデンレトリバーも出せる」
先程のイヌ花火で思い出したのだろう。
悠悟は超能力があり、さまざまなあやしいことが出来る。
そのひとつが「ネコ忍者を出す」ことなのだが、
ゴールデンレトリバーも出すことが出来るのだという。
オスとメスがいて、
名前は「グルア(攻撃)」と「ティアナ(回復)」。
彩織「ふぅん。メスの方は前に言ってた、月まで脱走してしまったって子?」
悠悟「だね」
昔、月まで脱走したメスのイヌをロケットで飛んで行って探し回った・・・そんな話を聞いた。
空気ボンベを付けながら嬉しそうに走り回っていて、捕まえるのにひと苦労したという。
(悠悟は空気無しでも生きていける(説明は略))
相当前に悠悟の中に封印したので、生きているかどうか・・・と悠悟。
パンッ!両手を叩き、右手を伸ばして ぽわんっ と何かを出現させる。
ゴールデンレトリバーと、ふたまわり小さいゴールデンレトリバーが出てきた。
「下がって!」
二匹は悠悟に相当懐いている。
特にメスの方は悠悟を自分の旦那さんだと思っている。
彩織に噛み付くかもしれない。
悠悟は前にグッと出て彩織のガーディアンになった。
二匹はふたりの周りをぐるぐる回りだした。
くるくるくるくる
グルア『対(つい)』
ティアナ『陰陽』
通常、動物たちを介して「悠悟がしゃべる」のだが、
このゴールデンレトリバーたちは独立しており、自分の意思でしゃべる。
くるくるくる
悠悟さんは新しいものしか見ません。
古いものも見ましょう。
彩織さんは意外と新しいものに冷たいです。
平等に「新」も「古」も愛しましょう。
悠悟さんは彩織さんに甘すぎます。
でもそこがいいんです。
彩織さんは悠悟さんにきつすぎます。
でもしょうがないですね。
悠悟さんは彩織さんを振り回しすぎです。
でも彩織さんはMだからだいじょうぶです。
彩織さんは悠悟さんに愛情を与えすぎです。
でも同時に同じだけ憎しみをぶつけすぎです。
・・・
ふたりはそのまま正座してずっと聞いていた。
二匹はしゃべるだけしゃべり、、
ふたりの前にビシッと座った。
静寂が辺りを包む。
僕たちはお稲荷さんじゃない!
グルアがとても怒っている。
悠悟、彩織「(言ってない)」
別にお稲荷さんを悪く言いたいのではないらしい。
グルア「僕たちはあなたたちの狛犬です」
ティアナ「ずっと御護り致します」
二匹の周りにはとても美しい光のオーラが出ている。
悠悟「(長い年月を経て神様のようなものになったのか)」
深く理解する悠悟。
悠悟はティアナを抱き上げて、愛おしそうに抱きしめた。
一度月まで脱走したせいだろうか。
ティアナを見るたびに安心感が蘇るのである。
聞いてたのか?
と彩織とグルアは思った。
テケテケとお祭りで買ったおもちゃを持って、夜道を歩く悠悟と彩織。
面白かったねっ
と彩織。
狛犬げっつ。と悠悟。
「あっ」
さっきのイヌ花火、買っていきましょうよ。
彩織が提案する。
熱いから痛いのでは、と悠悟。
火はお清めとして使われるし、
煙で神様が天に昇るイメージもあるし、
コミュニケーションよ!
さっ、買いましょう。
オス用とメス用、「ふたつね!」
パーンッ!!
ひっ
ふたりともビクッとする。
一瞬、空にイヌの形をした花火が見えた。ような気がした。
・・・
アハハ、粋ね。
笑う彩織。
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