Ragnarok Online derivative works
目次 >> RO物語本編 >> 夜桜の精夜桜の精Spirit of cherry blossoms at night
- 第30話:点
むにむにむに
ん?
モロンの背中で伸びてたリンリンが寝惚けていた。
レンレンたちはそれどころじゃないのに!
「おとぶざん"……」
むにむにむに
モロン「お父さん?」
・・・
かなり昔の・・・リンリンとモロンの想い出。
初心者魔術師のリンリンと、ウォーロックのモロン。
「私のお父さん...小さい頃に亡くなっているんです」
目の前は川で、川の前の草原になっている場所に、ふたりは座っている。
そよそよ、と流れる風...
リンリンは言葉を続けた。
「だから、モロンさんに私のお父さんになって欲しいんです」
プイッと横を向くモロン。
「誰がなるかよ。てめーの父親になんか」
「(父親って何だ?そういう対象なのか?)」
何だかムカムカしてしまうモロン。
「そっか......」
少し寂しげに 答えるリンリン。
(現在)
・・・
「(くっそ、俺をバカにしやがって!)」
起きろコラ!
背中のリンリンをぱちん!とはたくモロン。
あぶ。おどうざ ん・・・
まだ寝惚けてる。
「俺はおまえの亭主だ!」
父親じゃない!
ぐゎばっ!と振り向くアイリーンとイザムバード。
「ちょっと!いちゃついてる場合じゃないですよ!」
ちょっと怒ったような口調。
いっ
目が点になるモロン
いちゃついてなんかいねぇよ!!
そしてリンリンを思い切り投げ飛ばし、(ほんっとひどい)
ズカズカズカズカ!
と、桜の樹の 下に行ってしまった。
サーッと青くなる一同。
レンレン「ゆ、勇気ある"ぅ、、、」
アイリーン「あ、あたしが、、」
あんなこと言ったから
イザムバード「こえへ!」
桜の樹の下で、女性がへたり込んでいて、
それに対しモロンが言った。
「おまえ誰」
一同はこれ以上ないほど目が点になった。
リンリンもさすがに起きて同じようになった。
オホホホホ オホホホホ ってさっきから
何なんだ!
意味分かんねぇ!
耳障りだ!
バチィーンンンッ!!
モロンは桜の樹の下の女性を思いっきり引っぱたいた。
レンレン「ゆっ」
アイリーン「ゆっ」
イザムバード「ゆっ」
リンリン「ゆっ」
幽霊ぶったたいてるぅううぅぅ!!
マサルさん的な雰囲気が漂った。
トサ...
樹の女性は軽い音を立てて崩れ落ちた。
そよそよ・・・ そよそよ・・・
夜の闇の中、少し長めの草が風に揺れている。。
・・・しばらく線だけの世界、モノクロの世界の感覚が辺りを包んでいたが・・・
レンレン「・・・」
彼女はすっかり緊張感が取れたのだろう。
スタスタと桜の樹の下に行き、モロンを制して 女性に言った。
「その...だいたい、、わ、分かるわ
貴方の気持ち......」
樹の女性はパッと顔を上げ、レンレンの顔を見た。
彼女の顔は涙で濡れ、化粧が落ちてドロドロになっていた。
でも口紅だけは落ちずに、真っ赤に光っていた。
「ひとつだけ分からないの」
レンレンは言う。
どうして、、アイリーン伯母さんたちなの?連れてきちゃったの・・・
女性はあぅあぅ言っていたが
聞き取れるような言葉になっていき
「幸せそうな夫婦が、、恋人がいやだったの」
とやっと言った。
なぜ?
問うレンレン。
「私は不幸だったから」
不幸な恋愛をしたの?
レンレンが「本当に子供か?」的な質問をする
「違う。私は男たちのおもちゃにされた
辱められた
女として不幸だった
悲しかった」
うぅっ
女の心や精神が直接流れ込んでしまうのだろう
レンレンの心臓が痛んでいるようだ
「だから、、私と違う、、幸せそうな恋人が羨ましかった」
レンレンがぜぇぜぇしながら言う。
胸を押さえて。
「でも、、アマツにはたくさんそういう、、夫婦とか恋人がいるわ
何故アイリーン伯母さんたちだけ」
特別愛し合っているように見えたの
目を見開くレンレン。
そしてバッと後ろを向き、アイリーンとイザムバードを見た。
「ま、マジで?」
アイリーンたちは うっ と言うような顔をした。
「だいぶ、、分かりにくいけど 愛情だけは あるん、、だと」
思う。
でも表現だとかそういうのが合わなくて
でも愛情「だけ」はあるって
そういう話
とつとつと語るアイリーン。
腕を組んで目をつぶり、わざとらしく寝た振りをするイザムバード。
今度はアイリーンたち以外が目が点になる番であった。