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気の正体



にゃあ


??

くるっと振り向く美織。

見ると、そこには


・・・


うっすら、、本当~にうっすらだが、虹色の模様のネコがいた。


天界にはネコ、イヌ、トラ、ライオン、オオカミ、タヌキ、キツネ がいる。

神聖な動物だからだ。

(下界から上がったのではなく、天帝が創造した)



そっと抱き上げる美織。


ぎゅーっと抱きしめる。

はぁっ
この感覚。
ネコって癒されるぅ

泣きたくなるような甘い感覚が体を包む。


・・・

「これで、冷静にレンレンと向き合えるきっかけになったわ

有難う」


すっかり怒りが収まった美織はネコにお礼を言った。


と。


薫衣(くのえ)の香?


喬一さん?


薫衣の香とは衣服にたきしめるための薫物(たきもの)の一種で、大変価値のあるめったに手に入らないレアなものである。


喬一さんなの?


ネコは顔を背けた。


薫衣の香は美織が喬一にあげたプレゼントであった。

それがきっかけでたきしめるようになり、喬一=薫衣の香 になってしまった。


くんくんくんくん


さすがにネコがぎゃー!!と嫌がるくらい近くで嗅ぐ美織。


案の定ネコはぎゃー!!みたいな顔をしてバタバタ暴れ、逃げてしまった。


「戻還喬一!」

でかい声が響き渡る。


バシンンンッ!


ネコが美織にひゅーんと飛んできてぶつかった。


戻還(シーファン)とは、近くにいる動物や人間、天人などを引き寄せる仙術である。

(戻す対象の『名前』を知らないと使えない)


ゴロゴロゴロ

甘えるネコ。


「ごまかそーったって無駄よー 知らない振りなんてしちゃって!」

ころんっ

白いお腹を出して、何のこと?みたいに普通にネコはカシカシッと顔をかいた。



ちなみに、動物になっていても、衣服は透明化されるだけで着衣している状態だ。


ネコにちゅ~っとしようとした瞬間、重大なことを思い出して

パカッ!と引っぱたいた。


目を点にするネコ。



も、も、もう!

そっと、、床にネコを置き、逃げられないようにぎゅっ!と固定して

「ちょ、ちょっと」


ハーッ と、、深呼吸をして美織は言った。


・・・動物変身の術って 名前忘れたけど、、 「太清仙人」が使える技よね!!


ぎゃーっ!!!

ネコがそういう顔をして


再度すっごい勢いで逃げようとする


ま、待ちなさ


「戻還喬一!!」


パシシーン!!


ネコはまた戻されても


ダッ ダーッ!!


逃げる。


喬一さんたら!!


戻還喬一!!


しかし戻ってこない。


遠くに行ってしまったのだろう。



「(太清・・・)」

両手で顔を覆う美織。

「(いずれ、私を置いて行っちゃう気がする)」


ふぅ

パッと顔をあげて、ネコ誘導作戦を敢行する変わり身の早い美織。


ずーっと隅っこに座って、アイポンをいじりまくっていた。

すっかりアイポンの世界にダイヴする頃。


ぽいんぽいんぽいんぽいん


美織の右手をポンポンして、邪魔してくる虹色ネコの姿が。


無視してアイポンをいじっていたら、

アイポンの上に乗っかってきた。

「僕この上が好きなの~」みたいな顔で上機嫌で寝ようとしている。



喬一はこういう性格ではない。

動物に変身すると、その動物の特性やら特徴やら本能が移ってしまうのだ・・・。

(でも本人の意識はキッチリある)



美織はパッとネコを捕まえ、言った。


太陰仙人に戻りましょう!!


(太陰仙人=仙人の最下位。ぺーぺー)



ネコの反応を見る前にネコを抱き上げ、颯爽と歩いていく美織。


「時間潰しちゃったわね。さ、行きましょう」


白い目の人たちは幽霊です

と、言っていた喬一。


今度は本人が白い目になる番であった。



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