RO小説本編の目次  >  茶色い犬の目次
       

 

 

 

バラ園―2―



アーチの形をした木の枝が上に広がっている、木で出来たベンチのような腰掛けのような

そういうところに座る ウィリアムとエリザ。


・・・ていうことを


エリザ「色んな人に言われたの・・・」

ふぅっとうつむくエリザ。


何と言っていいか分からないウィリアム。


エリザ「いいの別に。見返りを期待するのは男の仕事で。
私は女だし」


アホなエリザとも思えない発言が飛び出す。



あのね


エリザは大事なことをウィリアムに告げた。

ウィリアムは無言だった。


「心はあなただけなのに」

「・・・だったらそれはそれで、、お腹の子は母親に愛されないことになるわ

私は・・・」



長い無言。


それが、答えだった。




でも聞いて!

叫び声のような声。


思わずウィリアムも身をたじろがせる。


「わ、わたしは、、

け、決してあなたを裏切ったつもりは・・・」




沈黙。

無言。




しばらく


何とも言えない空気が漂った。





「もうそろそろ帰ります」


ウィリアムは すっく と木の腰掛けから立ち上がった。


はしっ

ウィリアムのマントをつかむエリザ。



「やだぁ

やだよぅ


いかないでよぅ」



うげっ



・・・




木の腰掛けでは、

エリザが満面の笑みでウィリアムの背中をぎゅ~っと抱きしめていた。

(数分後)


ウィリアムはこういうのが大嫌いである。


しかし、トンカチで壊されてしまったのだ。



甘やかしてはいかん。

身を引き締めた。


「君は、殿下が好きなの?」

きつく、そして呆れたように言い放つ。


「有り得ないわ!」

即座に答えるエリザ。


・・・


もう考える面倒臭えぇや



ふと何気なく目が合った。

オパールを溶かしたような、不思議な瞳のエリザ。


・・・


不思議な領域が出来たみたいだった。

リトル・コスモスみたいな。


聡明なウィリアムは分かった。


「(分かりました)」


エリザの心がいつまでも自分だけにあることを。



現代ファンタジーのオンライン小説 | ものもの



BACK「バラ園―1―」  NEXT「いない人」


WEB CLAP  ひとことでいいですよ。&感想書き逃げ大歓迎同盟