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どうして



エリザ「(アイリーンちゃんが身代わりになってくれないかしら!)」


ある日突然、恐ろしいことを考えたエリザ。


ここはプロンテラ王宮内。

元々働き者のエリザは、「休息が必要」とドクターストップ的なものを周りから散々受けているにも関わらず、エプロンをしながらごしごし掃除をしていた。


エリザ「(きっとクララ(召し使い長)に見つかったらまたつまみ出される・・・)」

しかしクララの掃除は若干甘いと思ってつい自分でやってしまうのだ。


エリザ「(見つからないようにサッサとやんなきゃ)」


さて。


自分の境遇があまりに理不尽で、ストレスがかかるものだと思ったエリザ。

ふと、「アイリーンが私の代わりにレオナルドに嫁いだらどうだろう?」 と思ったのだ。


どう考えても人身御供である。


エリザ「(同じ顔をしているし、、そういえばアイリーンちゃんは殴りプリースト系だから力も強いし)」

(※殴りプリースト=自身に様々な強化魔法を掛けて、自ら敵を殴る聖職者)


喧嘩とかしてもアイリーンはいとも簡単にレオナルドをぶっとばすだろう。


エリザ「(いいんじゃないのかしら)」


アイリーンを本当に双子の姉だと思っているのだろうか?

エリザは次々とアイリーンを差し出す妄想を繰り広げる。


アイリーンが嫌がったらどうしよう。


しかしアイリーンは面食いである。

エリザ「(レオナルド皇子のカッコ良さにすぐホイホイOKしてくれるかもー?)」


少し希望が出てきた。


アホな妄想をしながら、自分はアイリーンだけでなく、レオナルド皇子まで道具?だとか
人間ではなくて
まるで品物のように考えていることに気付いた。


でも、自分だって まるで品物のようにさらわれて、こんな目に遭っている、、のだから
いいよね、、と思った。

(おいおい)



銀の食器をきゅっきゅっと「拭きすぎだろう・・・」というくらい拭きながら、


エリザは、ふとレオナルドを想った。



変態だけど、優しくて、深い愛情をくれて、、
何もかも洗練されている 美男のレオナルド。

いつもドキドキをくれるけど

幻想なんだよなこれ と思って

次の朝にもそもそハミガキしている時に、
「本当に幻想だ・・・」
と実感し、いつもがっくりくる。


ウィリアムに対する、「本当に好き」
とは全然違う。


好きになろうとは 何度も何度もしてきた、、けれど・・・


最初のうちは、手を上げてくるだとか、大声で怒鳴ったりだとか、
かなりの未熟な(エリザも相当だが)人物だったが、

一緒にいるうちに、
実は愛情深くて 紳士で丁寧な人だということが分かった。



わっかんないママねぇ。パパはねぇ、女なら誰でもいいのよ


レンレンのあの言葉が頭をもたげる。



エリザ「(ウィリアム・・・)」


女なら誰でもいい、のウィリアムに対し、、



どんな女も、君とは違う。
女はみんな一緒に見える。
でも君はひとつのブランドに見える。
何故だろう


と言ってくれたレオナルド。

(※過去「」参照)


エリザ「(ひとつのブランドかぁ・・・
嬉しい。
有難う。レオナルド・・・」


あの時の言葉を思い出し、目をつぶって心から感謝するエリザ。


愛せたらラクだろう。

こんな言葉を言ってくれる人を愛せたら。



こんな、言葉をくれる人間なんて、 絶対いない。

アイリーンだって、、両親だって、、

きっと誰も・・・



どんな女も、君とは違う。
女はみんな一緒に見える。
でも君はひとつのブランドに見える。
何故だろう


やるわね。

もし、ウィリアムと出会う前だったら 確実に落ちてた?のに。



レオナルド、、アイリーンちゃんにその言葉使いなさいよ。

絶対アイリーンちゃん好きになってくれるよ・・・



ぽたり。

レオナルドと別れるのを想像して、泣くエリザ。


あ、あれ??


自身の涙にびっくりするエリザ。


エリザ「(え、、。あ、愛してないのに・・・)」


愛していない。

愛してはいないのだ。


でも、愛に近い。


涙を拭く、、、



な、


何で?


愛してないのに


意味不明な涙に戸惑いつつ、



い、いやだ、、


どうしよう


「(ど、どうしよう って何が)」


レオナルドがいなくなってしまうのを想像し、

目の前が真っ暗になるエリザ。



違う!


「(なんで?)」


自身の感情に疑問を持った。


・・・


分からない・・・


ただ呆然と、立ち尽くすエリザだった。



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