RO小説本編の目次  >  暗闇と花びらの記憶の目次
       

 

 

 

砂漠は



ゲフェンとプロンテラの中ほどの地域。

森と、草原と、、柔らかい風。


アレクシス「やぁ、メイチーちゃん」

ちゃん?

「ちゃんというのはどういう意味だ。「氏」とか「嬢」とかの意味か?」

はぁっ、、と苦笑するアレクシス。


アレクシス「まぁそのうち覚えていくさ・・・
親しい女性とか子供に使う単語だね」

顔を赤くするメイチー。

メイチー「わ、私を親しいと?」

こういうの面倒臭くて普通は逃げるんだがなぁ、、と思うアレクシスだ。


メイチーは王家出身であった。

側妃の子であるため、母親が亡くなってからすぐに冒険者となったのである。

(通常は王家の人間は冒険者にならない。冒険者になるとモンスターからダメージを負うため)

王家の人間でもなく、冒険者としては普通の言葉でしゃべれず、メイチーは浮きっ放しだった。


「(その言葉づかいを正すのは至難の業だな)」

アレクシスはその幼い少女に見えない力で引き寄せられ、何故か教育者の立場になっていた。

ハッ

「おまえ、もうすぐ転生なんだな?噂で聞いた」

メイチーは焦りながら聞いた。

「おまえ、なんて言うな!何度言ったら分かる」


ハッと口を押さえるメイチー。


もう、参ったな。
「その言葉づかいだよ まずは」

ビシッとして言うアレクシス。


現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの


「ここに、たまに来てくれる。
感謝するぞ」

小高い丘の上の定位置。

そこにふたりは座って風を楽しむ。

メイチーは堂々とアレクシスに好きだということを告げている。
(王家出身なので怖いもの知らず)

アレクシス「(俺を想うよりウィザードとしてレベル上げに勤しむ方に進んで行って欲しいんだが)」


たまに、その場所にアレクシスが来るのをメイチーは待っていて、それで先程の発言だった。

来てくれて有難う(好きだから嬉しい的な意味で)という訳だ。


そうか

メイチー「・・・・・・」

メイチーはアレクシスが転生まぢかというのがとてもショックのようだ。


それだけ頑張ったからな。俺は。

ビシッと言うアレクシス。


メイチーはメイチーなりに一生懸命頑張っているのだが、

「(どうしても勝てないんだ、こいつには)」

遠い存在で且つ「俺なんてたいしたことない」臭を出していつも謙虚なアレクシスにはどうしても勝てなかった。

「(まぁいい。ハイウィザードになったら格好良くなるからな)」

パッと切り替えて、アレクシスのハイウィザード姿を思い浮かべた。

・・・

色んな姿が思い浮かぶ。

騎士の姿とか
商人の姿とか
貧しそうな格好の姿だとか


アレクシス「メイチー?」

ハッ
メイチーは現実に引き戻された。

俺のハイウィザード姿を妄想でもして遠い処にいったんだろ、と呆れて言うアレクシス。

メイチー「自惚れるな!私は自惚れる男が大嫌いだ!」

っていうか

物凄く

アレクシス「君自身が自惚れさせているんだよ。何を言っているのか」


現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの現代ファンタジーのオンライン小説:ものもの


美織「(あの時はビシッとしていて、、返って私良かったかも・・・)」

美織=メイチー

現在。天界。

(そのため、漢字表記。下界はカタカナ表記)


可愛くない、って思っていたけど・・・

「(凛とはしてたよなぁ)」


アイリーンが今遭遇している事象を思う。

「(今の私はブルブル震えちゃうだけで、、何も出来ないけど

あの頃の私なら凛と色んなこと出来そうだなぁ)」


「(さすがにモロクのアレを何とかしたいんだけど、、

うーん やっぱ怖いや)」


モロクに巨大な悪が埋まっている。

埋まっているだけで、それが出たりはしない。

「(でもアイリーンが・・・!)」

アイリーンがそこに引き寄せられている。


「(無理っ!)」

あの巨大な恐怖には立ち向かえない。


アレクシスとの想い出を思い出したのは、アレクシスにすがりたかったからかもしれない。

『自惚れるな!私は自惚れる男が大嫌いだ!』

そんなことを言えていた獅子のような自分。

「(そしてそんな凄い発言に全く動じないアレクシス・・・)」

私たちふたりなら、、何とか、、なるかもしれない。


「・・・怖い。潰される・・・」

下を向く美織。

「(無理だっ!)」


何事も運命で、成るように成る訳だから、、何かするのは大きなお世話。なのかもしれない。


アレクシスは昔は、、天界に上がる前はもっとビシッとした怖い人だった。

「(でも今は本当に柔和になって・・・)」

「(私も変わった)」


「(アイリーンも。強く生まれ変われればいいな
強く、、人間はずっと同じじゃない。

日毎、変わっていく。
輪廻転生は生まれ変わった時の言葉じゃない。

日毎に変わっていく人間の心や精神を表したものだわ・・・)」


眩しい太陽を眺めて、、

キラキラした砂漠の恩恵を受けるアイリーンを想像した。


悪が埋まっている魔の砂漠も、、風砂に舞うキレイな砂漠になるのよ。
多分いつか。

思い切って空を見上げて太陽を直視した。

とてもキレイに見えた。



現代ファンタジーのオンライン小説 | ものもの



BACK「命」  NEXT「不穏な空気」


WEB CLAP  ひとことでいいですよ。&感想書き逃げ大歓迎同盟