イザムバード「(、と思ったら、無表情にもなってるし・・・
泣きそうな顔にもなってるし・・・)」
その日の亀島での狩りは湿っぽい空気が漂っていた。
しかし空気を読んで、深いことは聞かないイザムバード。
ポツリポツリ、と雨が降り出した頃に、
イザムバード「あ、じゃあ帰りましょうか!」
と言った。
「(ちょっと救われたかも・・・)」
アイリーンのただならぬ様子に、おろおろしていたけど、これで切り替え?られる。
と思う彼。
ワープポータル(ワープ出来る空間を生み出す魔法。聖職者が持っている)を出し、
いつも行っているゲフェンの街にイザムバードと自身を送るアイリーン。
とっとことっとこ、いつもの道具屋に行き、
狩りで収集したものを 収集品商人に買い取ってもらい、
お店の隅っこでだら~んとしていた。
(いつもの光景である)
イザムバード「(このまま逃げ出したい;;)」
いもむとさんが落ち込んでいるみたい。
そっとしておいた方がいいかも。
おろおろするイザムバード。
イザムバード「(だってちょっと変だ)」
気ぃつかい~のいもむとさんのこと。
どんなに落ち込んでも、 こういう場面では絶対無理して
笑顔作って、無理に話すじゃん!
人に合わせるじゃん!
イザムバード「(それもしないなんて・・・)」
異常事態だ異常事態だ
緊急回避緊急回避!
そんな指令がイザムバードの頭の中で駆け巡っていると
アイリーン「イザムバードさん!」
体育座りをしながら(パンツ丸見え)、突然アイリーンが言った。
へ
イザムバード「は、はひ!」
びくびくするイザムバード。
アイリーン「結婚してよ!」
くるっとイザムバードを見てアイリーンが言った。
は、
イザムバード「は?」
突然の意味不明なキレ気味の逆プロポーズに意味が分からなくなるイザムバード。
しばし考え、、
イザムバード「何かあったんですか」
と、冷静に返してみた。
(そりゃそうであろう)
アイリーンはまた顔を背けて体育座りを続けながら言った。
「振られたの。だからイザムバードさんなぐさめて」
イザムバード「(す、ストレート・・・)」
アイリーンのストレートさに思わずレオンの顔が思い浮かぶ。
イザムバード「(いもむとさんの双子の妹さんの長男だったな、、
少し前に生まれた、、)」
まだ小さいのに、曲がったことが許せなくて、何かこう、凛としたしっかりした子だった。
イザムバード「(な、何かあの子の感じに似ている!)」
血(血族的な意味で)を感じるイザムバード。
「御免なさい 変なこと言って」
すっく、と立ち上がり、アイリーンはサッサと道具屋を出て行く。
イザムバードは聡明、且つ優しいので (じゃあ何故暗殺者になったんだ)
「きっとああならざるを得ないような、すごく悲しい辛いことでもあったのだろうな・・・」
とアイリーンの身を案じていた。
アイリーンは、本当に偶然であるが、、
(物語たちの最初~~の方にも書いてあるが、)
アレクシスに振られたのである。
アレクシスとは、「牡丹の人」のアレクシスである。
振られて、、、
やけになっていたのだ。
だからといって、イザムバードさんに八つ当たりするなんて。
アイリーンは自分のバカさ加減に呆れたが、
もうどうしようもないくらい、理性が壊れてしまったのだ。
アイリーン「(だって、振られるのってきついんだもん
辛いんだもん)」
「・・・・・・」
でも、、大人げなかったわよね
イザムバードさん御免なさい、、
イライラして、、人に当たって、、、
うう
イザムバードさんに菓子折りのひとつふたつでも持っていって、丁重に謝らなくちゃ・・・
でも、今は御免なさい。
「(すぐに、、ちゃんと謝るから!)」
今はひとりでいたい。
すごく勝手な私。
イザムバードさん
気持ち悪い女とでも思ってて。
本当に御免なさい。
アイリーン「(あの時の!)」
アルベルタすぐ傍の森林内。
ハーブティの葉っぱを摘みながら、
アイリーンはあの時のことを思い出していた。
うっうっ
先程のwisを続ける。
アイリーン『ご、御免"なざび!!』
イザムバード『え?』
御免なさい御免なさい御免なさいぃぃぃい!!
菓子折り持ってあのあのあの!!!
泡を吹きそうになるアイリーンであった。
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