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沈黙を破り、

アイリーンは言った。「あなたは私を愛してなかった

ただの独占欲?

でも、、前世の人間を・・・」

独占するなんて変な話だし。


言ってて分からなくなってきた。


そうだと言ったら?


レンジャーが答える。


「え?」


思わず大きな声が出る。


愛なの?独占欲?

自分のものだったから、その「もの」を取られたくない、みたいな?



「愛してるからという理由以外に何がある」


大声で叫んでいるアイリーンとは対照的な、静かな声のレンジャー。



やめてよ気持ち悪い!

アイリーンは頭をブンブン振った。

「前世の話でしょ!」


・・・



・・・


「おまえが、あのアサシンクロスと元に戻らなければ、良かったんだ」

「何もすることはなかったんだ」



そんなの勝手なのに


エリザがレオナルド皇太子様の元から戻ってきて

前以上に・・・いや 新しい関係の恋人同士みたいにふたりが、、ウィリアムとエリザが仲睦まじくなって・・・


「(羨ましくなったのよ!)」


私がどうしようと勝手なのに!


「(挙句、愛って何よ!)」


嘘吐き!

なおも興奮して声を張り上げる。


「刻印ていうのを早く解い・・・」


ママ


え?


キョロッと辺りを見渡す。


ママ・・・


・・・



アーシェ・・・


幻聴なのか神秘的なものなのか

・・・



アーシェを捨てた。

私には業(ごう)がある。


「(赤ちゃんの声は、、おろされるはずだった私自身の「捨てないで!」っていう声と、)」

イザムバードさんのことを思い出すと赤ちゃんの声が聞こえたのは


アイリーン「(俺との子を忘れたのか!という この人のメッセージだったの・・・?)」

たらっ、と脇から汗が出る。



頭がぐるぐる回転する。



「す・・・」


「捨てないで」


だったのだ。



アイリーンはぼんやりとうつむきながら、、

何故か幸せに包まれている自分を認識した。



アイリーン「・・・あなた・・・」


下を向きながらアイリーンが言う。


レンジャーは答えない。


アイリーン「嬉しい」


ずっと愛されていないと思った。

もうすっかり冷められたのかと思ってた。

全然私、知らなかった。


私、すごく幸せだったのね。


すれ違いばかりだったけれど、



アイリーン「(アーシェ、、あなたは想い合う両親の間に生まれたのよ)」


子供よりも、お互いの愛を、、お互いの愛の方が、ずっとずっと大切だった。

そんな風に互いに思う両親だったのよ

アーシェ・・・


そして言った。


アイリーン「でも、今はイザムバードさんだけ。私の人生で、夫はあの人ただひとりよ」


もう離婚してるけどね、と舌を出した。


レンジャーはフッと笑って、


「分かってるさ」

と言った。


つい夫同士ということで大人げない挑発をしてしまったけれど、、

俺は俺なりの決着を付けたかったんだ。




ふたりの頭上に、「お疲れ様」とでも言っているのか、雨が降っていた訳でもないのに、大きな虹がかかっていた。



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