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どう考えても



喬一はずっと疑問だった。


生前の美織は、周囲が「何故そこまで??」と10人中10人とも思うくらい、

喬一に甘かった。


甘やかしすぎとでも言うのか。


自分を犠牲にしてでも、喬一のために行動していたと言っても過言ではないだろう。

何かをホイホイあげたり、すぐにパッと手伝ったり、自分の都合があるというのに、喬一が絡んでいるとすぐに力になったり。


その美織が、何故、喬一の出世街道?を邪魔しているのだろう。


喬一「(別にそこまで出世したいとは思わないけど、疑問ではあるな)」


『偉い喬一さんなんて厭だからよ!』


エコーのように響く声。


何となく、この言葉に何かが隠れている気がする。


偉くなったら厭だとか、
単純に自分の方が上に立ちたいとか

そういうのではなくて、何かもっと・・・


こんなんだったらドールハウス(下界で言うところの1.5億のもの)を買って贈るんじゃなかった・・・

失敗したなー とぼんやり思う喬一。



『ぎょく、、玉清になったらきっと、、』


ピシッ


何かが分かりかけた気がしたが、すぐに霧散してしまった。


のに


喬一「(もしかして、、、)」


そうか。

生前あんなに、、

だからか、、

「(今回も・・・)」


下を向く。


「(そうか)」



それはないと思うけど、でも

例えそうなっても、 でも ずっと仲良くいるよ


襟首つかんで「逃げたら承知しないわよっ!」って

言ったの君じゃないか


そうなっても、大丈夫だろ




喬一「(つーか)」


ほんと、それだけはないと思うけどねぇ

いや! ないね



どう考えても玉清仙人に相応しい頭の回転の早い喬一であった。



「あのーぅ」


びくっ


後ろを振り向く喬一。


美織が御免なさいを言う前の子供のように、もじもじしながらそこに居た。


美織「あのね、」


喬一「玉清の謎が解けました」


うえ?


びっくりする美織。


喬一「ちょっと難しかったけど・・・」


美織「え?え?え? まさか、、」


分かる訳ないじゃない、と笑う美織。


美織「多分、勘違いよ。
あたしね、ヒントを与えにきたの。
ドールハウス、買ってもらったから・・・」


もじもじしていたのはそのためらしい。


喬一「(勘違い?)」

ふむ、と思う喬一。


美織「まだ私が天人になりたての頃、、
最初、秋桜の精に任ぜられたじゃない」


喬一「うむ」


美織「その時、、喬一さんを探して、
やっと見つけたの。
悲しかった」


悲しかった?


意味が分からなくなる喬一。


美織「その時はもう太陰仙人になってたけど、
もう玉清に見えたの」


くっ


何だ 思った通りじゃないか


喬一「(早く寝てーなー)」


もう解けた解答が、「どうせ合ってる」とちゃんと自信があるのに、

先生だとかが「ちゃんと解答のページを確認しなさい」と言って、

えー合ってるのにー とかったるくなって、

で、確認したら本当に合ってる。


そういう時、

「時間の無駄だった!」

と更にかったるくなる。


喬一は無駄が極めて嫌いであった。



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