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名がない



ひとつ疑問があるわ!

美織は手を上げた。


「はい」
答える玄宗。


「私と深く関わったら危険なのに、
よく簡単に結婚の決断出せたなって」


玄宗「そうだな。僕なら何とか出来るかもしれない、というおごりが有ったのかもしれない」

苦笑する玄宗。


でも、

美織「何故すぐ離婚て言ったり怯えていたり、、でも仕方ないか」


玄宗「用心するに越したことはないからな
まぁ結果的に俺の未熟さを証明する形になったな」


用心に用心を重ねて~ って感じなのね

確かに秩序、、型かもしれない



「混沌型は?

最も危険な・・」


「そう」

言葉をさえぎった。


業の深い人間、そして極度の混沌型の人間が取り込まれる。


取り込まれたら最後、冥界の王に引き渡される、、、


・・・

冥界の王。

この前も出てきた言葉だ。


美織「何故私が冥界の王と繋がっているの?」


・・・

玄宗は少し沈黙した。


「天帝が君をいきなり何故 花篠娘々にしたと思う?」


突然何だろうと思う。


玄宗「天帝は、君に色々言っていたね

その場に僕も居たから覚えている

正義感が強い、、

生前特別な功績を残した、、

禁呪を生前に持っていた、、」


玄宗「どれも違う」


何かがあったからだ


美織「何か?」


玄宗「それは力でも魔力でも何でもない」


「・・・え」


玄宗「名前の付けられていない、何か」


・・・

名前の付けられていない何か。

・・・


玄宗「恐らく、それがあったが故、
冥界の王と繋がった」


・・・


天帝は、君のそれを見抜かれたのだろう。

推測に過ぎないが・・・


玄宗「ただ、それが良いもの素晴らしいもの、という訳ではない。

悪いもの危険なものという要素も孕んでいる」


カクッと首を下げる美織。

「私は危険人物で、、

花篠娘々に選ばれたのは私の実力ではなくて 何らかの違うもので、、

う~ん」


玄宗「おおいなる力であることは確かだ」


「どうでもいい」
一刀両断の美織。


話してて疲れちゃった。

「合わせてたけど限界よもう」


ひゅうぅぅぅ

タイミング良く濃い霧が出てきた。


玄宗「喬一君か」

美織「うん、、」


もやっ

ひんやりとした霧。

とても心地良い。


目の下にクマが出来ていて、ぼぉっとしている美織を見て

「(名がない何かとは『情、の上を行く単語』のことかもしれないな)」

と冷静に玄宗は思った。


救いようのない空気が漂う。


玄宗「(美織、誇り高かった君は何処に行った)」


弱々しい背中だが、俺にはどうしてやることも出来ない。

玄宗は思う。

「(それは自分ひとりで乗り越えるものだ)」


余りにも残酷な、玄宗の考えだった。

今の美織にとっては・・・。



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