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ロ○コン



その日は朝から雨が降っていた。


世界中全てが自分を罵っている、、

指をさして笑っている


そして、父も、母も、、


誰ひとり守ってくれる人はいない


動物でさえも


昆虫でさえも・・・



震えながら、屋敷に到着し、迎えの間に通されて、

ガタガタひたすら震えていたら、




「おい」




後ろから声が掛かる。


おそるおそる、後ろを振り向くリリア。


入ってきたドアに、もたれかかるように
男が腕を組んでリリアの方を見ている。



脚にまで伸びる、長い黒髪の長髪。

真っ赤な瞳。



「おまえだな。リリアは」


リリア「(だ、誰だろう)」

震えが止まらない彼女。


「俺はヴィンセント

おまえを買った者だ」


えっ

えーっ??


こ、この人が、、


ヴィンセント「少々、早いと思ったんだけどな
他に手が付く前にサッサと買った」


買った



品物のような感覚に、目の前が真っ白になるリリア。



リリア「(そうだ、、私は「買われ」たんだ・・・)」


朦朧としてくる感覚と、泣きたくなる感覚でフラフラする彼女。



言っとくが!

ヴィンセントが声を張り上げた。


「別におまえを品物のように思っている訳じゃないぞ!

単純に好きだから買ったんだ!」


は、は?

リリアは目が点になった

(そりゃそうだ)


わ、私はまだ10歳なんですよ!

意味分からないです!

ちょっと怒りながら言うリリア。


「・・・他のやつに取られる前に買った。

それのどこが悪いのだ」

解せない顔をするヴィンセントである。


そして
「もう取られた後に手に入れようとすることを

『不倫』とか

あ あと『略奪愛』とか言うのだろう?」

そういうのは嫌だからな

・・・と言った。


リリア「(・・・この人頭おかしい!

あ、、

それだけ世間知らずっていうか、、

いいところの人間てこういうものなの?)」

緊張感が無くなってくるリリア。


「で、でも私はまだ10歳。
縁遠すぎます!そんな世界」

不倫とか


ヴィンセント「だから待つと言っているだろう。
いつがいい」


「(い、いつっていつ?)」

訳が分からなくなるリリア。


ヴィンセントがせっかちに言う。
「おまえを正式に妻にする日だ。
いつ・・・何歳がいいのだ!」


「(わ、・・・私の意志は無視なの?)」

でも、私は品物として買われた身、、、
お金が動いたんだ、、

だから私に選択権はない


「えっと、、」

30歳とか言ってやろうか?

でも老けたって嫌がられたら逆に癪だわ!


リリア「20歳くらいで、、」

力なく答えるリリア。


ヴィンセント「分かった。
20歳だな!」


ヴィンセントは周れ右をした。


その代わり、、、

リリアの言葉でくるり、と再度向き直るヴィンセント。


リリアはとても気の強い性格だ。

「一生私に指一本ふれないで!」

ビシ!とヴィンセントを指さして言う彼女。



ぽかーんとした顔をしたヴィンセントだったが、

「分かった」
とあっさり言った。


「おまえがそう望むのならそうしよう」
ニコッと満面の笑みで言う。



あ、あの

リリアは一番聞きたいことを聞く。


どうして、、私を、、買いたいと。

リリア「ど、何処で見掛けたのしょうか」


ヴィンセント「アルベルタだ!
ちょっと買い物があってな

あそこでしか手に入らないマンゴーなる果物があるだろう?」


「は、はぁ・・・ マンゴー?」


ヴィンセント「あれを買いに行ったんだ。

買いに行かせるばっかりだったから たまに自分で行こうと思ってな

そこでおまえを見掛けた」


はぁ・・・

話もしてないのに何故だろうと思う彼女。


「あ、あの い、一体どういうところに・・・?」
リリアは分からない。


分からん!

それだけ言うヴィンセント。


こっち来い!

ツカツカやって来て リリアの腕を取るヴィンセント。


「妾専用団欒室」というところがある。
そこに行って皆に挨拶してこい。


そのままズルズルとリリアをひっぱっていく。


「(私と同じ10歳の子達ばかりなのかしら・・・)」


頭がくらくらしてくるのを必死で押さえるリリアであった。



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