愛称:ミナカヌシ
愛称:タカミムスビ
愛称:カミムスビ
まだ世の中が混沌としていた頃、
とある理由で、大いなる秩序の神が出現した。
天御中主神(愛称:ミナカヌシ)である。
しばらく策を練っているうちに、
男性的な創造の神、高御産巣日神(愛称:タカミムスビ)と
女性的な創造の神、神産巣日神(愛称:カミムスビ)の
二柱を創った。
この二柱には性別がない。
ちなみに、ミナカヌシにも性別はない。
両方(男女の要素)とも持っているからである。
この、造化三神(ぞうかさんしん)と呼ばれる三柱は、
しばらく世の様子を見守っていた。
すると、独神(ひとりがみ。性別のない神)が二柱生まれた。
すぐに天地が分かれ、高天原と呼ばれるところと、下にあるドロドロとした場所とに分かれた。
正確には―
造化三神がいる、高天原より高い場所もあるのだが。
独神が要るな・・・とミナカヌシは思った。
「(・・・まだまだ足りない。
それを待つのはどれくらいだろう)」
それから気の遠くなるような年月の後、
独神が二柱出来た。
二柱は、双神(ならびがみ)と呼ばれる、
男女一対の神たちを創った。
その様子を、呆気に取られながら見ていたミナカヌシだったが、
二柱は、その双神を丁寧に整えていく。
今までは、ひたすら、世界の秩序を一からひとつずつ整えてきたミナカヌシだったが―
(天気やら空気やら温度やら数学的な秩序やら)
タカミムスビ「済みません、あの、二代目の男女神が自動的に」
カミムスビも真っ青になっていた。
造化三神は静止した。
急いで、高天原を上(造化三神がいる所。とても高い)から覗いてみる。
すでに、三代目の双神が出来ていた。
タカミムスビ「でもこれいいことかもしれませんよ。
何かひょっとして、「創造」的なものが出来るかもしれません。勘ですが」
少し経ち―・・・
独神が出来るには長い年月が掛かる。
あの双神というのは、何とかしてくれるかもしれないな。
とミナカヌシは思う。
少し経てば、独神たちが永いこと世界にバラまいていた「生命が増える要素」で、
また双神が出来るだろう。
代が進むにつれ、双神の体は完成されていく。
ひょっとしたら、神々を産む能力を得られるかも・・・
うーむ、と考えるミナカヌシ。
「話し合いたいことがある」
すぐにタカミムスビとカミムスビを呼ぶミナカヌシ。
(説明)
―と、言う訳なんだが、どう思う?
「その、いつか『完成する双神』に任せた方がいい気がするんだが」
とミナカヌシ。
カミムスビは
「随分、双神を信頼するんですね」
と意外そうに言った。
「あいつらは有能だ。
ひとりで完成している私たちより、たくさんくっつく可能性がある」
双神たちのくっつきっぷり(?)を見ているタカミムスビとカミムスビは赤くなった。
ミナカヌシは顔色ひとつ変えず、
くるりと後ろに回り
「―自分たちがくっつく磁力で、きっと私たちより有能な力が得られる」
自分たちの中の違う要素が強く接着することで、神を産むことが出来るのではないか、とのことだった。
そんなっ、神を産むことが出来るのは我々造化三神だけですよ、とタカミムスビ。
そんな―、どうしてそんなに期待するのですか?
「何となく」
とミナカヌシは言った。
そして、完成した双神を待つことになった。