次の朝からまた、宮殿(家)のすぐ傍の森林から、樹を採りに行って作業する日々が始まった。
(というか、ずっとそれだが)
一応、その森の、木の神を呼び寄せ、宮殿を建てるための木が必要なこと、切った分はまた生やしておいた方がいい、と
言っておいたスサノオ。
切った分はまた生やす、というのはその森の勝手なのでおせっかいだが・・・
スサノオ「(これが終わったら、海の統治を・・・)」
身を固めたせいか、少し変わった感じのスサノオ。
とはいえ、飽きっぽいスサノオ&全部をやったら絶対トラブルになる、なので
近辺の海、と決めているのだが・・・
あんな可愛い、姉上そっくりのこが、何故・・・
スサノオは、自分が好かれている意味が全く分からなかった。
「(しかも・・・お嫁さんて 俺に?)」
勿論スサノオも、クシナダヒメは姉のアマテラスに似ている(顔)し、
不器用なのに一生懸命色々と頑張る姿とか、とても愛しいと思っていた。
クシナダヒメは、スサノオと結婚出来る喜びで、頬を桃色に染めながら、
張り切って稲作を間違えながらも頑張っていた。
しばらくして、クシナダヒメのための、人形造りの家が建てられた。
八雲立つ 出雲八重垣
妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
(なんてたくさんの雲が立っているのか
出雲に宮殿を作るぞ
妻を守るための・・・
宮殿を、造る)
スサノオは、クシナダヒメを深く愛した。
それはもう深く愛した。(直情型)
すがすがしい土地、ということで、居住地を『須賀』と名付け、
ふたりは子をもうけた。
そして末永く、幸せに暮らした。
一方 ―・・・
場面は変わり、とても重苦しい雰囲気の、高天原。
太陽の神殿、アマテラスの謁見の間。
謁見をしているのは、顔面蒼白になっている男性。
アマテラス「あなたがやったことは、重罪です」
ミカヅチは反射的に返事をした。
「分かっています!
分かっていますが・・・良く分かりません。
まさかそんな」
混乱しているのか、ミカヅチは「言葉分かってますか?」と聞いている人が思うような
会話をしていた。
「剣をこれへ」
アマテラスは側近の女性に言う。
女性はすぐに、剣を持って来て、掲げた。
アマテラスは上品に剣を受け取り、そして目の前にあるとても薄い布から出て来て、
目の前の階段をそろそろと降りて行った。
優しく、両手で剣を、ミカヅチに差し出し、
「これです。
抜いてご覧なさい」
と言った。
しばしのやり取りの後、
ミカヅチは立ち上がり、剣を抜いて、その素晴らしさに、焦りや辛さを忘れて、少し喜びの表情になった。
感心してじーっと魅入っていると、
「あなたの、剣の破片が、それを生み出した」
とアマテラス。
後ろを向いたまま
「分かっています」
とミカヅチ。