漫画の神様と呼ばれていた「手塚治虫」という男性がいた。
日本人なら誰でも知っているだろう。
彼はある時、体力には自信があるというのに、目がしょぼしょぼして
眠くてぼ~っとしてしまったことがあった。
そんな時、
何かを見てハッと起きた。
しかしその「何か」というのはさっぱり忘れているし、
何かを見たというのすら、起きた数秒後には忘れている。
こんなことが幾度も幾度もあった。
もう会えない。
きっと会えない。
脳裏の何処かに不思議な文字があるような感覚があるのだが、
すぐに忘れる。
真っ白い空間の中に、透明な水がぱしゃぁん...とはねる感覚。
何度も何度も。
そんなものもあったけれど、
でもすぐに忘れた。
ある時、すごく刺激的な元気ドリンク的なものを飲んだ。
バリバリに元気が出て、グーッと原稿に向かった。
しかし何日も寝不足で無理矢理元気ドリンクを飲んだので、
眠気が襲った時にドンッと机に顔をぶつけて一瞬だけ寝てしまった時があった。
そんな時、不思議な少女が、向こうから泳いでくるような感覚を感じ、
パッと目が覚めた。
じわぁっと涙がたまっていった。
ティッシュで鼻をかみ、
そして
両手の指先でまぶたを押さえた。
そしてパッ、と自分の原稿を見た。
原稿と顔の距離がかなり近い感じである。
ぼくさ ずっと 同じこを 描いてたんですよ
誰かわからないけど
うっうっう~っ
涙があふれてくる感覚はあるし、何か胸に締め付けられるような感じもある。
でも、何だろう。
肝心なことが分からない。
今、何を言ったんだろう・・・
今、何を言った?
漢字と平仮名を混ぜたような話し方、、、、
そして、寝た後、
全てを忘れてしまった。
黄泉の国の、あの暗い洞窟での
明るい楽しい思い出。
「あーそうだ。
ぼぼ僕、生まれ変わることになってるんだよね。
で、生まれ変わったら「虫」って名前付けようかな」
「は?」
オサムが描いたはるさんの絵は、
初代黄泉大神が、「この国(葦原中国)の創成期に縁のある、
非常にデリケートな絵」と判断し
黄泉の国の奥深くに保管されることになった。
なつさんに見せるとしたら、
なつさんが葦原中国にて寿命が来て黄泉の国に来る時を待つしかない。
ちなみに、神様たちの寿命は200~600歳ほどなのだが、
なつさんやスサノオ(二柱とも葦原中国にいるので寿命がある)はまだ生きている。
つまり、肉体がある。
サラッと凄いことを言っているが。