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現代ファンタジー・創作小説



小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第1章「妃羽」

虚しい傷

ハッ

目を覚ます妃羽。
目だけぐるりと部屋を見渡す。

あまり知らない部屋、『起きたら見覚えのある部屋』ではない部屋を、
キョロキョロと見回す妃羽。

ガバッ、と身を起こした。

横にドアがあり、明かりが漏れている。

昨日のことを思い出す彼女。
「(確か・・・)」

と。


キィ.....

普通の、中国服を着た威俐がやって来た。


「あの・・・」
と言う妃羽と、
普通に「ん?」と答える威俐。

そして妃羽は口に手を当ててハッと思い出し、
「馮(ふぉん)主任に、馮(ふぉん)主任に連絡しなきゃ。
あ、明日・・・。し、仕事!」
携帯電話を探して電話をしようとした。
が、、夜中なのだとハッと気付く妃羽。


バッグに持ち歩いていた充電器が携帯電話に刺さっていて、驚く。



過ごした時間を思い、目が回る妃羽。


あれから、もう一日過ごしたのだ。

この日は休みだ。


・・・

『君に会いたかった』
そう言われたこと。

『え・・・何で私を』と言うと

『前から君のことを知っていた。
メイドとしてたまに来ていた姿を見た時にまた会いたいと思った』
と言う威俐。

え、それってどういうー・・・と思う妃羽。


一番最初の夜のやり取りだ。


・・・
「(女の部分、って言われたんだよね確か―)」
思い返す妃羽。

女の部分を強く感じた、というようなことを言われた。
何度聞いてもすぐに忘れそうだ。


「(女の部分・・・?・・・女?ギラギラしてるとか?
好きー、っていうオーラがすごかったのかな?)」

頭を軽くかきながら赤くなる妃羽。



そして、今朝のモーニングサービスを思い出す。

部屋にいながらも、何もせずに過ごしたことが自然なことと思われた。

「いつ私は頭打ったんだろう・・・いやいや。
ここは霊的な世界なのかも・・・」
とても真面目に考える妃羽。


・・・

何故今一緒にいるんだろう。
どうして今こういう時間を共有出来ているんだろう。


意味が分からず、何度も威俐の方をチラチラ見てしまう妃羽。


チャポ~ン、と外のプールから人が飛び込む音が聞こえる。

教えてー!と日本語が外から聞こえた。
(妃羽は日本語が多少分かる)
まるでこちらの気持ちを表しているみたいだ、と妃羽は思う。
チャポーンッ
チャッポーン

チャッポ~ンッ



パーティの前日、ドキドキしながら自分の部屋で床に着いた。
パーティで、、
「(ドン引きされた・・・。号泣した)」
ひとつひとつ思いだす彼女。
部屋に、連れて来られて想いを告げられた。

そしてまた一日過ごした。
その日はほぼ会話せず、
広い部屋でずっと妃羽は携帯電話をいじり

威俐は何か書類を書いていたりノートパソコンで作業をしていたり
しきりに携帯電話で電話をしていた。



そして、夜。

・・・に至る。


気付くと妃羽は抱きしめられ、
彼女は硬直した。


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更に、次の日の朝。

妃羽は鉛のような体で目が覚めた。
緊張のしっ放しだからと思われる。

離れたくないと思いながらも、
雲の上の人の威俐と共に過ごしている。
(まだ一緒にいたんか)

職場には何故か連絡が全て行っていて、「(だ、大丈夫なんだろうな)」と何とか安心する妃羽。

お腹も痛いし、頭も痛い。
肩も痛い。

すごく、心臓に悪い。
魏 威俐と一緒にいるのは。


痛みは色んなところを駆け巡っていた。
バスタブにお湯を張り、それで何度も痛みを和らげようとする妃羽。


今はいいが、
数時間したら、また同じような景色に戻るのだろう。
また、自分の部屋に戻り、同じような日常を送るのだろう。


もうこの頃にはこの不可解な状況が慣れてしまっていて
冷静に捉えられるようになっていた。


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部屋を去る直前―・・・

チャリッ

威俐『これがうちの ― 屋敷の鍵だ。
家の者には言っておくから』

と鍵を渡された妃羽。

「(鍵とか・・・
何なのこの展開)」

普通なら「憧れの人とこんなことに!」とときめくなり信じられない気持ちを引きずるなりするのだろうが、
グッ、と警戒心の鎧で自分を固めている妃羽。

「(女の部分、とか何とか言ってたけど、女性と接したことないんだろうか。
私だって人のこと言えないけど 棚に上げてるけど・・・(汗)
良く分からない人・・・ー)」
ふうっと息を吐く彼女。



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