小さな世界 > 第1章「妃羽」
5日目
その日の朝食時。
妃羽「・・・」
美味しい朝食を食べる妃羽。
カチャッ
あぐぐ
・・・
遠くから聞こえる掃除機?の音、パタパタと駆け回っている音。
先程の声を思い出す。
『俺は朝が早い!
だから見送りとかはいいから!←気が立っている
だからゆっくりしてるんだ!いいな!』
妃羽「(一緒に朝食食べたかったなー
ま、しょうがないケド)」
5日目。
1、見たくない書類は全部外側でやってくれて、妃羽は見なくて済んだ
2、果物飲料のデザイン構想をひき続きやっている
3、ピアノで創作活動をしている(700曲の表現曲を目標←年単位
妃羽「(見送りの時もいないようにしていた、威俐様。
・・・・・・)」
毎日しょんぼりしている彼女。
身の安全が守られたゆえに、やっと思えるようになったということだ。
部屋のドアが並んでいる廊下。
そこの先の窓に向かう妃羽。
数日前の記憶を思い出す。
暘谷『何か要るものは?』
用意された妃羽の部屋でほこりまみれになって暘谷が聞いた。
妃羽『な、何もありませ』
『じゃあいい!←短気
他、なんだ』
スックと立ち上がる暘谷。
『ま、こんなもんだろ』
目が点になる妃羽。
妃羽『(パワフル・・・)』
彼は、、
荷物の整理を、自分が何とかする!と全部自分でやったのだ。
(大きなお世話、、)
『俺は!』
ビシッと言う暘谷。
全部 自分でやります。
掃除も料理も。
・・・洗濯は苦手なんで使用人に任せてますが
妃羽は驚きの声を上げた。
妃羽『全部?掃除って、、この屋敷全部、ですか?』
汗をかく彼女。
ええ
まー2ヶ月にいっぺんくらいかな・・・。
と暘谷。
普段は使用人たちに、念入りな掃除は暘谷が(略)
という訳だ。
妃羽『し、神経質・・・なんですね』
暘谷『放っとけ!』
料理は必要だから、とのことだ。
男だって料理くらい出来なきゃな、と暘谷。
妃羽は『苦手なタイプかも・・・』と思った。
(労働者の同族嫌悪)
そして現在。
たまにまた、威俐への恐怖がこみ上げる妃羽。
妃羽「(あ・・・恐い)」
暘谷『俺がいるのに来るほどプライド低くないですよ さすがに。
それでも不安?GPS要る?』
妃羽『はい!』
妃羽はふーっとため息をついた。
♪♪♪
♪♪
♪
朝食を終え、(暘谷が作ったもの)
ピアノを弾き出す妃羽。
♪
「(威俐様への気持ち、きっと一生残る。
うん・・・)」
♪♪
♪
というより、その想い自体がピアノの曲であり、想いがなくなれば
曲が作れなくなるのだ。
・・・
ふぅ
暘谷「(いつか引きはがさなきゃ、って思ってたけど
これで何とかなったな・・・)」
何となく、「危険」といつか(ギリシャ高級別荘地話の時の)思った彼。
何とかなった、と思った。
『やるしかねーだろ
どっか隔離できないかな あの人』
まさかこんなことになるとは。
七匹狼(中国煙草)を吸いながら暘谷は思った。
「(離すったって「そこまで」とは思わなかったし
・・・)」
面倒臭えぇ・・・
心から暘谷は思った。