小さな世界 > 第1章「妃羽」
カードの
女性「うっひゃー♪」
妃羽に抱き付く女性。
ここは総合スポーツ・クラブである。
小さなショッピングエリアもあり、
そこでのショッピング目当てでここに良く来るのだ。
女性「フェイちゃーん♪
良かったね好きな人と一緒になれて♪」
ビクッとなる妃羽。
場所を移し、その施設の入り口に近い、休憩テーブルのようなところに座る。
女性は
・妃羽
・友映(よういん)
・礼法(りーふぁ)
である。
3人は幼稚園~大学までずっと一緒の友人同士であった。
でぇ?
友映「その申し出とやらには受けるワケ?」
凛とした感じの女性が言った。
「いや。断る気よ。冗談っていうか腑に落ちないわ」
友映「まーた言ってる。腑に落ちない、いうの」
礼法は飛び切りの笑顔で言った。
「腑に落ちるよー♪」
友映「ハイハイ(汗)」
館内中に様々な音がこだまする。
子供たちの声、先生の指導する声、ピーッという笛の音。
友映「確かめたンでしょ?
こういう、何か催し物で見初めて婚儀だの・・・
は初めてだって」
明るい館内。
爽やかな空気。
悩みなんて軽い出来事なのではないかと思わせる。
妃羽は言う。
「初めてだって」
本人から聞いた、と妃羽。
「結婚した後で変なこと・・・闇関係とか
そういうのに使われたら厭だわ。
・・・庶民だから逆らわなそうだから、、って選ばれて」
妃羽は最もあり、な意見を述べる。
怪しい人の接待、怪しいものの取引き。
上げたら切りがない。
妃羽「庶民だから何でも出来る・・・とか」
考えられないことではない。
人をどうしようと、人を壊そうと、
お金の力さえあればいくらでも揉み消せるのだ。
友映は頭をポリポリかいた。
「・・・あんたさ、暗いよ?」
引き続き子供たちの声がこだまする館内。
少し空は曇りだしてきている。
妃羽は立ち上がって言う。
「そんな、妥当な考えだとっ!」
友映はストローで飲み物を飲みながら、くるりと右を向いた。
「女の直感よ。信じてみたら?」
信じてみたら?の時は明るく前を向いた。
典型的な格好良い系の友映に
「女の直感?」と言う礼法に、
「うるさいわねっ」と言う友映。
ふたりのやりとりを尻目に、
妃羽は最も「有り得そう」なものを想像した。
本当は威俐には本命がいて、
その女性は人妻とかそういう立場で、威俐とは一緒になれず。
仕方がないから、隠れみののために、何でも言うことを聞きそうな庶民(妃羽)を妻にした。
そして妃羽は、ふたりが会うための道具(と言ったら大袈裟だけど)にされる。
「(・・・有り得ないことじゃないわ。本当に)」
<アクセサリー・ショップ>
チャリッ
アクセサリー・ショップで可愛いアクセサリーを手に取る妃羽。
香水屋でもないのに、甘い香りもする。
友映「妃羽!いいのあったー?」
後ろから声を掛ける友映。
礼法「あっはっは。こんなに救出してきちゃったヨー♪」
礼法が両手にたくさんのぬいぐるみを抱えている。
友映「礼法!(汗)こ、子供じゃないんだから!」
後ろを振り返って友映がそちらに行く。
あっ
いつの間にかアクセサリー・ショップの店長が妃羽の傍にいた。
礼法たちを見ている間だ。
この店長は癒しのオーラがすごく、ちょっとした有名人である。
妃羽「店長さん、こんにちは」
店長「やぁフェイちゃん、何か綺麗になったんじゃないの?」
ニコニコ、いつもの笑顔で話し掛ける店長。
・・・
会計時。
礼法「やっぱシナモンちゃんだよネー♪」
友映「はいはい、分かったから(汗)」
店長「今度ねー裏シナモン?ってのが出るみたいよ
新作だねー」
わいわい
ん
「フェイちゃんはこれ?」
店長は言う。
何処にあったんだか。
刀を思わせるようなアクセサリー。
一瞬会計を離れ、「シールとか取ってくる」と
奥の方に行ってしまった店長。
戻ってきてサッと手際良くラッピングして会計をした。
「店長さーん、またくるねー♪」
「いいからホラ(汗)」
礼法と友映より先に歩く妃羽。
「(綺麗になった、かぁ
苦労続きだったけど)」
カサッ
!
出てきたのは店長からのメッセージ。
『決して怒ってはいけません。世界はあなたの味方です』
何故か、意味を理解出来そうになる妃羽。
考えるのをやめ、
「(刀みたいなのを買ったから、、それでふざけて・・・)」
とこじつけた。
昼間の友映の言葉。
『アンタが何考えてるのか知らないケドさ、自分らしくやってったらいいんじゃないの?
だまされたらそこはそこっしょ?』
妃羽『でもだまされたら立ち直れないよ』
友映『でも好きなんでしょ?どっちにしろ(汗)
だったらだまされるのもいいんでない?』
礼法。
『だまされてたら「違う!」って思い込めばきっと真実になるよ♪
フェイちゃんファイト』
『いや、、でもそう・・・?』
『私そこまで人をだますなんて思わないよ。素直に行っちゃえばいいじゃん』
いい友人を持ったな、、と涙を拭く妃羽。
『決して怒ってはいけません。世界はあなたの味方です』
ゾクッとする妃羽。
・・・