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現代ファンタジー・創作小説



小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」

白黒のような風景。
大昔の。


女性『片親ってひねくれて育つのよねぇ』
『あらちょっと』

男性『誰があの子の面倒看るんだ』

女性『ちょっとぉ、やめなさいよ
あの子聞いてるかもしれないよ?』


立花家代々墓。

父親『ママはおまえに舞い降りたんだ
ママはおまえの中にいるよ』

・・・

墓地をすたたた、と走り、何かの花を摘み取る理々。

『ねーえ、これきれいよね』


父親『おまえの方がきれいだよ』


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普通なら
「(ファザコンになってるはずよね)」汗をかく理々。

ママを恋しがってなるもんか!
私が私のママになればいい!

・・・と見苦しい悪あがきをして今日に至る理々。


こんな容姿でこんな悪い癖があって、口癖は「理々ちゃんは~」
しゃべり方はこう。料理は下手で、、でもオムレツだけは得意で・・・
すぐに笑う、、怒る時は『もーう!』って言ってまるで威厳が無い。


幼児特有の空想癖ばりばりの頃から色々絵やらメモやらを書いた理々。

友人や先生や近所の人にも「空想上の母親を作ったのですが、付き合って下さい!」と宣言した。


周りの人間は、あまりに「本当にいるっぽい母親」を理々が作るので
「もしかしたら本当にい・・・る?のかもしれない」と洗脳され、
付き合いで仕方なく演技するというよりは「本当に居る母親」として普通に接する?ようになった。


女の子「ねー、寂しくない?お母さんやでしょ。いないの・・・」

・・・
理々「やーね!いない方がいい。押さえつけてくるもんでしょ母親なんて!
自分で自分の面倒看る方が気楽だわ」

小学校の頃の思い出。

母親がいない生徒から色々と言われ、その時だけは素の自分を出していた理々。

段々と、「寂しいなんて気持ちなくなったわ。絶対いない方がいい」と思うようになった。

完全に、『いる母親』を演じてきたゆえ、なのだろう。
どうせ演技、どうせいない、そんなものを吹き飛ばすくらい、、

『ママはおまえに舞い降りたんだ
ママはおまえの中にいるよ』

父親の言葉がでかかった。


(※今までの理々と母親との会話は理々の頭の中の会話です)


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トルストーネ渓谷。
パン・オンラインの高レベル向けの戦闘地域である。


ザクッ ザシッ

ギャーッ!
グワアァァアァッ!

ギャアァァッ!


モンスターの叫び声が激しい。
全部、裕也がやつけている。

それらを遠くの崖の上から見ながら理々は物思いにふけった。

「(変なの。ここ、私の頭の中を元に作られた世界なのに
どうして愛花さんにだけは敵わないんだろう)」

ザシュッ

ギャーッッ!!

ジャッ
足音がした。



振り向くと愛花がいた。

「あ、愛花さんっ!」

太陽を背にしているからか神々しい。

ジャッ

ストン、と座り脚を組む愛花。


風が吹き、愛花の額があらわになる。



理々「ひとつ、お聞きしたいことが・・・」

ん?
愛花が振り向く。


だいぶ長い話になった。

1、何故、私の頭の中の世界なのに愛花さんに勝てない?のか
2、上の層、下の層、とは


スーッスーッ
愛花は地面に絵を描いた。

・・・「こんな風に『層』がある。
幾重にも・・・

私の『層』はここ。Dだ。
この世界はF」

「上の層の人間は、下に割りと簡単に行ける。
立場も優位になる」


しかし、下に行ってしまったら、上に戻るのは至難の業らしい。


風を楽しむ愛花。

理々「(どういう事情でこの世界に降りてしまったのか分からないけど・・・
格好良い・・・人だなぁ)」


思わず、ママと言いそうになる理々。



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