小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」
休憩室
はっ
明かりが漏れる一室。
花宇はその部屋をそーっと見た。
ウゲーッ
ウッ
パッと離れ、両手で耳を塞ぐ花宇。
ウ"ーッ
ウゲエェェッ
花宇「(り、威俐様・・・)」
青くなる花宇。
翌日―・・・
召し使いA「ね~ぇ今日湿気すごいね~」
召し使いB「ちょっとこれ、置き忘れてるわよ!」
「あ、はーい」
リネン室のシーツを持ちながら、テクテク歩く花宇。
愛衣「はぁーい どしたのー」
後ろから愛衣が声を掛けた。
あ、「愛衣さん」
や、「亡霊?か分かんないけど何か背負ってるみたいに感じたから」と愛衣。
「じゃあ、休憩時にー 時間合わせとくね」
サッと持ち場に戻る愛衣。
シーツ交換、枕交換、
部屋の掃除機掛け、
飾り物、棚拭き、、
ろうそく換え、
ザッカザッカ......
庭の掃除。
(それぞれ区域があって、数人で持ち場の領域を掃除する)
ぼ~っ
ドカッ!!
ぼーっとしていて裏口の階段の柱(石柱)にぶつかる花宇。
「うっ、、うう、、」
涙と鼻水が出る花宇。
・・・
「(もうすぐ休憩だ)」
立ち直り、額の赤い腫れを携えたままテクテクと階段を上る彼女。
愛衣「あ、はーい」
休憩室。
落ち着いた小奇麗?な部屋で、まさに「休憩室」に相応しい部屋である。
愛衣「どうしたの?腫れ・・・」
額の真っ赤な腫れ。
「あ、これは・・・」
説明する花宇。
緑茶を飲むふたり。
♪~♪
優しい鈴音のような音楽。
部屋に焚かれている落ち着いた香り。
カチャッ(湯のみを小皿に置く)
「―・・・」
愛衣「・・・なるほど(ズズーッ)」
そ、そういう、事情があったなんて。
でも、、
「今はもう暘谷さんのもの、なんでしょ もの、って言い方はアレだけど・・・
威俐様だって、」
「あ、、」
花宇がさえぎった。
「り、威俐様は、すごく、、苦しいんだと思います。
どうしようもないくらい・・・
だからって、どうしようも」
・・・
ズズーッ
「鍛錬が足りなーい」
愛衣がバッサリ切り捨てる。
花宇「あ、愛衣さん(汗)」
ピトトン♪
鈴音が少し鋭くなった。
愛衣は言った。
そういう事情で暘谷さんとくっついたとは知らなかった。
(でも確定ではなく、花宇の推定だと思う)
もうそう決めたのなら貫くべき。
・・・
優しい花宇は「(そんな理屈で割り切れるものでは・・・)」と威俐の身を案じていた。
あ
花宇「(妃羽さんはどうなんだろ?)」
でもっ!
イラ立だしげに愛衣が言う。
「妃羽さんが色々って。私が独り占め出来なくなるじゃないの!」
ぽかーん・・
呆然とする花宇。
暘谷さんも、威俐様も、あーうっとうしい!
花宇「(妃羽さん、モテモテ・・・)」
汗をかく彼女。
「(何かの磁力、でもあるのかな?)」
普通は楽観的な彼女だが、少し不安になる花宇。