小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」
白い空間
少女「あなたは、事実をしっかり受け止めるくせに、
事実を認めようとしないのよ~
お子様なのね~」
妃羽「・・・そうかも・・・しれないわ」
少女「でもぉ、しょうがないのよね。だってあなたは
ジェムストーンだから」
ジェムストーン?
真っ白い空間。
遠くにポツン、と梅の樹があって、ウグイスが止まっている。
何故かそこにいる少女と妃羽だ。
ピルピルピル~
変な鳴き声を聞きながら、いつの間にか会話をしている。
妙な杖を振って、その杖で妃羽を指し示す少女。
「触媒、の役目をしてる。「事実」というものにするための、、
大事な存在なのよ」
・・・
妃羽は突然のことで何を言っていいか戸惑った。
あなたは
くるっと後ろを向く少女。
「事実を捻じ曲げようとするのね~
だから、この世界が」
あのっ
妃羽は言った。
「何言ってるのか分かりません(うん)。
事実って。事実を作る?私を触媒にして?」
少し振り向く少女。。
そしてすぐに背を向けた。
ムッとする妃羽。
「説明が全然ないのではっ・・・」
パッと妃羽に向き直って少女が言った。
「違うものを、『信念』というもので事実にするの
頑固な思いでね」
・・・
ぽかーん
目が点になる妃羽。
少女は切なそうに、悔しそうに言った。
少し顔を背けて。
「私は、あなたの願いのために生まれた。
でもまだ力が弱くて」
あのっ
妃羽が声を張り上げる。
「私の願いって?
あなたは何者?」
・・・
「願いを叶える者。
現実を受け止められないあなたに、誰かが『事実』を提供しようとしてるの」
・・・
妃羽「御免なさい。
何言ってるか分からないわ」
うーん、、としばし軽い感じで考え込む少女。
「この世界で、『どこかで見たことある』とか『この人知ってる』とか
感じたことな...」
妃羽「あります!」
ガッツいて答える妃羽。
気が付くと、少女の指の先に変な鳴き声のウグイスが乗っていた。
「ニャガニャガ」
少女「うん」
「ゴニャーッ!」
妃羽「(・・・しゃべってる?)」
汗をかく。
妃羽は座っている。
少女は立っている。
右手には杖。
左手にはウグイス。
少女「空想は空想。でも、ひょっとしたら『空想ではないかもしれない』
そういう「願い」のもとに、、
私たちは生み出された」
・・・
妃羽「もったいつけないで。どういう意味」
ウグイスはポンッと妃羽の前に降りた。
「要はね、まぁ、う~ん・・・新しい事実を・・・だよね?
いい世界を作るんですよ」
後ろを振り返るウグイス。
(しゃべってる)
ウグイス「後ろの、このこがね、魔法を使う。
んで」
パッと向き直る彼。
ウグイス「君がジェムストーン(触媒)な訳だ。
・・・だよね?
それでまぁ」
少女「それくらいでいいわ」
少女がさえぎる。
ピッ
ウグイスをつまんだ。
「すぐに色々言っちゃうんだから!
ジェムの質が落ちちゃうでしょ!」
「あれ~僕そんなに言ったぁ?」
バタバタ
ピンッ
少女は綺麗に立ち、サッと何かを妃羽の額に当てた。
「魔法、完成させるよ 任せて」
そう言って
妃羽を元の世界に返した。