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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」

近未来BAR

♪♪~♪ ♪♪~
♪♪

夜の、BARのような作りの部屋。

カラン...

男がグラスをカウンター席に置く。

後ろからユウ(猫)が現れた。

ユウに振り向く男性。

「何だ、来てたのか」

ユウ「ああ。さっき丁度」



カウンター席に座るふたり。

カシャッ
添えられている、スライスされたフランスパンを食べるユウ。


ユウは、鴻日があまりにも不可解な存在で
妃羽の身を案じて鴻日に接触したのである。

ユウがしゃべっても、ほとんど驚かずに
『この猫もか』としか言わなかった鴻日。


鴻日の私室。
近未来的な香りのする高級カウンターバー付きの部屋である。


バーの椅子に座り、鴻日の作ったカクテルを飲む。
「(ふぅ。良く分からんが。油断ならないヤツ・・・)」
と思うユウ。

・・・

Positive Mood JAZZ

音楽が聴こえる。

JAZZ音楽だ。BARに似合うと言えよう。


「何か・・・知ってるんだろ。この『世界』の秘密を」
ユウが言う。

バーテンがいる場所でカラカラッと氷を落として作業をしている鴻日が言った。

「うん」

ぐっ
「ぜ、全部、、じゃねーだろな」
パッと椅子から降りて尻尾をくるくるさせながら続ける。

「さぁ・・・」
両手を静かに動かし、目を伏せたままの鴻日が言う。


スタスタ..

いつの間にかさっさと夜景の見える大きな窓のところに移動している鴻日。

少し振り向いて鴻日が言った。
「君も、少しは知ってるんだろ?
猫くん」

背を向ける彼。

鴻日「妃羽さんを守りたいみたいだね。
心配はご無用だよ

彼女は『操り主』だから」

・・・!

ユウ「・・・」


妃羽さんの世界。
彼女以外はみな、作りもの。
僕も、君も。

・・・
鴻日「誰もかれも、妃羽さんの作ったものだ」

ユウ「・・・」

無風の外。
多少は聞こえる車の音が全くしない。

「彼女の理想の世界を作るために、僕たちは具現化された。
それをさらに「事実」に固定するため、何かが なされようとしている」


ユウ「(え?後半は知らないぞ?前半は知ってたが・・・)」
混乱するユウ。


そっとユウを見て薄く微笑む鴻日。

「磁力が、あるのだろう。
妃羽さんには。
・・・何らかの『力』が働いている。

彼女の意思だろう」

ヒュウッ

少しだけ無風状態が解除されたのか、風の音が聞こえた。


主である妃羽さんが、操り人形たちを操るのはいとも簡単なこと。
「威俐様と一緒にいたい」という願いがメインで、
それさえ叶えられればどうでも良かった。
彼女にとっては。

しかし他の操り人形たちにとっても「主」である妃羽さんは惹かれる対象であった。


・・・
鴻日「それだけならいいが、
『偽りの世界』とはいえ、有能な人間である暘谷さんがその磁力に影響されるのを、
僕は憂いている」



ユウ「そういやさっきの、「事実に固定される」ってなんだ?
偽りじゃなくなるってか、この世界が」

ピョン、とBARの椅子に乗っかり、新しく出来たマルガリータを呑むユウ。


鴻日「失礼。シャワーを浴びてくる。待ってくれるか」


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カクテルの本を探し、何か作ろうかと試行錯誤するユウ。


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