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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」

Level.36

きゅっ

宿屋で手袋を付ける理々。

理々「うっしっ」


タッタッタッ
草原の中を走ってゆく。

『ばかっ!何で先行っちゃうんですか!』
裕也『いやだって、、俺朝早かったし、、起こしちゃ悪いと思..』

『ばかっ!(←二度目)私と行くのがそんなにイヤなんですか?』

フォン、と呼ばれるプレイヤー同士の1:1対話である。

留守番電話機能もある。

『こんにち、、いやおはよう。裕也だけど、、先行ってるね
良く寝てたみたいだから』


現在。

理々「(で、現在に至る、と・・・)」

テクテクとティア草原に行く理々。


チャージ、と言って戦闘の一番初めに各ステータス値をMAXにする装置がある。
各狩場ごとに一日一回きりだ。

ガラス張りの小さな個室。

ふぅ
チャージを済ませ、草原に体を向けてきゅっと唇を結んだ。

剣を抜く。

「うっし!」

キンッ!

グシッ

半漁人を大きくしたようなモンスター(陸に上がってきたのか・・・)。
剣が皮膚に刺さらず、腕が痛くなる。

「くっ」

腕の痛みに、一瞬左にかがむ理々。

バシッ!
半漁人モンスターが強烈な一撃を彼女にお見舞いした。

その、瞬間。


パンッ!

軽快な音と共に金色の光が、半漁人の体を真っ二つにし、、
上半身が・・・

くるっ
「ふ、藤波先生っ・・・」

見ると、太陽を背に、白馬に乗った裕也がいた。

裕也「はっはー、やっぱ弱いなぁ」

理々は目が点になっている。

サッと馬から降りて、剣を上に向ける。
「ホラ、いいもの(武器)手に入れたからラクだよ」

ぐっ

バッと理々が立ち上がる。

指をさし、「せんせ、ここは私の世界。私に恥をかかせたら承知しないんだからね!」
と言った。

裕也「え、俺恥かかせた?いつ?(汗)」

でかい声で理々が言う。

「い、今っ!私の獲物を横取りしたでしょ!助けてくれなんて、言ってない!」

裕也は目が点になった。
「そら、、どうも。御免ね?」


プイッと顔を背けて草原の先に行こうとする理々の後を、そそっと付いて行く裕也。


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モンスター不可侵エリア。

「結果的にレベル上げの邪魔しちゃって御免ね」

ふんっ
理々は体育座りで裕也の方ではない方を向いて言う。
「獲物は横取りするわ、レベル上げの邪魔もするわ・・・
疫病神!」


『先に行っちゃったこと、謝りたくて
その・・・
御免、、ね?
もうちゃんと、起こすようにするよ』

『それで来たワケ?』

『ち、父親と同じ気持ちになってしまってね。
安らかな寝顔を見てると、、起こしたら、可哀想かなって』

(10分前の会話)


・・・

し~ん・・・

理々は、父親が多忙でほとんど家にいなく、母親は他界。
兄弟もいない。

そのため、、朝「ひとり」でいる悲しさを人一倍良く知っている。
琴線とでも言うか、アキレス腱とでも言うか・・・

それでおとな気なく怒ってしまうのだ。

・・・
裕也「・・・ねー俺さ。格好、、良かった?」

ねーってば。聞いてる?
落ち着いたタイミングで会話が再開した。

・・・

パッと、凛々しく立ち上がって理々が言った。

モンスター、、倒してたの、格好良かった。
でも、
赤くなって言う。
「こうやって、謝ってくれたことが、その・・・
そんな感じよ」


・・・

リリ:ファイター(Lv36)
ユウヤ:フェンリルナイト(LvMAX)


リリの意思がどうなるのか。どう自分の世界を斬って行くのか・・・



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