小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
Jet Stream
E層の理々と裕也にとって、F層はパン・オンラインだ。
理々の精神の世界が、F層パン・オンライン。
しかしそれは三次元だ。
そして他のプレイヤーも自由に行き来出来るところからしてあまりE層と変わりはない。
そして、
理々と裕也にとって「物語」である妃羽たちの世界。
それが「G層」である。
本の上の世界なのだから『創作話』なのである。
カキンッ!
ピーッ
「You've reached the Level 52.
Congratulations!」
はぁっ はぁっ
ぐっと汗を拭う。
理々「(まだLv52。ナイトにすらなれない)」
剣にこめる力が増す。
騎士のクラスチェンジ一覧
ファイター
↓
ナイト(Lv100で到達)
↓
ソードマスター(Lv200で到達)
↓
ロードナイト(Lv500で到達)
↓
パラディン(Lv700で到達)
↓
フェンリルナイト(Lv1000で到達)
↓
エンペリシャス(封印されている)
次々に敵をやつけ、回復剤を飲まずに木蔭で休み・・・
再度敵をやつけ、自然治癒を待つ。
汗だくな理々の体。
『ミラティー(最高回復剤)、ホラ。たくさん。
自由に使っ、、』
理々『いーんです!情けは要らない!
大丈夫ですから!』
ピーッ
空間に三角を描き、アイテム一覧を見る。
『ミラティー:999個』
ふぅ
ため息をついて空間を閉じる理々。
♪
~♪
♪
目を開ける。
「え?」
左右を見渡す。
♪
♪♪
「・・・」
Jet Streamだ・・・
思わず声に出す理々。
幼い頃を思い出す彼女。
音楽が好きで、クラッシック、ポップ、ロック、ブルース、バラード、シャンソン。
何でも好んでいた。
その中で彼女が特に好きだったのが
Jet Stream - 美しい海の詩 - であった。
理々は顔を輝かせた。
あ、そうそう。次は「エーゲ海の真珠」で・・・。
ハッ
空を見上げると
Could I provide a joy to you?(楽しんでもらえた?)
雲の文字が出ていた。
そうか
「(私の世界だから、私好みのものが・・・)」
♪♪
女性『こんな時間に御免なさい
○月に演奏会があって。
午前中お留守だったから』
女性『音楽はやはり良いですね』
空想上の、理々の母親の友人。
そう言っていたのだ。
(by そして)
しばらく鼻歌を歌う理々。
下に行けば立場が低くなる。
『上の層の人間は、下に割りと簡単に行ける。
立場も優位になる』
愛花『・・・こんな風に『層』がある。
幾重にも』
そよ・・・(風)
妃羽・・・
あるはずのない場所に手で探す動作をする理々。
理々「(うちにある。続き読まなくちゃ
図書館のを全部読むの大変だから全巻買ったのよね
・・・誰が書いてるんだろ
まだ、完結してないのよね)」
「(・・・妃羽の世界が『G層』なのかな)」
目をつぶる理々。
Jet Streamを聴きながら
「(妃羽の『森林』聴きたいな
妃羽、逢いたいな、、
どんな、、音楽が流れているの?)」
理々たちにとっては「創作のお話」である『妃羽の世界』。
そのまま、理々は溶けるように寝入ってしまった。