小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
ひといき。
のんびりしたレタスの声
「鴻日さんと愛衣さんがいらしています。
お通ししますか」
暘谷の好きな和風の部屋。
そこに『正座』をさせて鴻日と愛衣を迎える暘谷。
愛衣「こんな時間にどうかと思ったのですが」
暘谷は言った。
「やーいいよ」
それにしても
「和風の部屋とは きれいなものですね」
普通に言う鴻日。
愛衣「ええ、暘谷さんは和風がお好きなんですよ」
トマト「ワガシ(和菓子)とギョクロ(玉露)です」
お盆にトマトが和菓子と玉露を持って来た。
?
鴻日が思った。
「(お好きなんですよ、って。ふたりは仲が良いのだな)」
・・・
・・・
益々確信を深める鴻日。
暘谷&愛衣
「・・・え?(汗)」
正座ではない格好になっている鴻日。
「おふたりは何かが共通している」
固まる暘谷と愛衣。
「何かとは言いがたいが」
少し立ち上がる愛衣。
「ひょっとして 妃羽さん大好きなとことか」
うげっ
玉露を飲んでいた暘谷が吹き出す。
「・・・違います。
同じ世界からやってきたというべきか
キャラーズとしてやってきた世界の、同じ人間、というべきか」
いきなり真っ暗になる外。
まるで墨のような感じになる。
・・・
暘谷&愛衣「・・・?」
レタスが(少しいけないことなのだが)口を挟んだ。
「あのー、私もそれ、感じたことあります」
全員がレタスの方を向く。
レタスは新しいお茶を持って来るために部屋に入ったのだ。
トマト「私もです」
レタスの後ろからトマトがにょきっと顔を出した。
さすがに驚く一同。
彼女は和菓子を持って来ていたのだ。
(お腹にたまらずに優しいもの)
トマト「初めは話が合うからだと思っていました」
愛衣は開いた口が塞がらない。
愛衣「鴻日さんに誘われてここにお邪魔しに来たけど、何か色んなことに」
鴻日の話はこうだった。
まとめざるを得ない・・・
全員が同じキャラーズではない。
αという世界の「選ばれた者たち」
βという世界の「選ばれた者たち」
γという・・・
=キャラーズになる。
キャラーズはB層~G層にランダムに当てはめられている。
キャラーズの中では「同郷の者」(αの世界同士みたいな)という人たちが出てくる。
ちょ
愛衣「ちょっと待って!」
彼女は疲れた声を出した。
層、についてはさっきの説明通りとして(信じていないけど)
「αの世界」「βの世界」って何?
余計訳分からないわ
レタス「A層の主人の『映画』とか『小説』とか『絵本』とかの世界なのではないでしょうか」
α=同じ映画同士(例)
β=同じ小説同士
α、β・・・は同じ『グループ』で、
イメージ的には「横世界」なんでしょう。
αのキャラーズが、ランダムに B層~G層 にあてはめられて、
βのキャラーズも、ランダムに B層~G層 にあてはめられて、
・・・
B層~G層は「縦世界」なんでしょう。イメージ的に
それで、B層~G層 というものが作られているのではないでしょうか。
「(頭脳明晰!)」
その場にいる人間たちが思った。
トマトが言った。
「どういう世界があろうと、私たちは生活するだけです
A層の主のことを私は信じます」
鴻日は驚いた。
愛衣を後部座席に乗せながら運転する鴻日。
「(なるようにしかならない。暘谷さんも戻るし(戻るだろうし)
世界を、、信じよう)」
何も、世界を考えないように、決心する鴻日。