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目次 >> RO物語本編 >> 夜桜の精夜桜の精Spirit of cherry blossoms at night
- 第15話:喧嘩するほど
...前から思っていたんだが
リヒタルゼンに着き、着飾った女性たちをあちこち見て モロンが言った。
「おまえ、その、有るんだか無いんだか分からないちっこい胸を何とかしろ!」
ハァッ?
思わずくるっとモロンに向き直るリンリン。
「そ、そんなの勝手じゃないの!」
何よ突然
女性たちを見ながら彼はリンリンの貧弱さに何か感じるものがあったのだろう。
額に片手を当て、は~あ、とため息を付いて目をつぶるモロン。
「(むっかつくぅ~! 本当ムカつく!)」
何か復讐方法でもしないと、、
とリンリンが何か考えていると...
「なんかこう、ムラムラこない」
とぼそっと言うモロン。
ムラムラって。
「(来たところでどうする訳)」
私たちは形だけの夫婦なのに
何かする訳でもないのに
「中性的すぎるんだよな」
ムネもケツもないし
何の迷いもなく機械的にリンリンの胸を触るモロン。
動じないリンリン
(愛し合ってないのが良く分かる)
年端のいかない男の体だよなー
ため息をつくモロン。
いいじゃない
私はこの 少年みたいな体 がお気に入りなんだから。。
動きやすくていいし。
脂肪が少ないから走ったり飛んだりしても痛くないし。
(ボンッ キュッ ボンッ の女性曰く、普通は女性は動き回ると痛くなる)
だからとは言え、「じゃあそういう女っぽいのと結婚すればぁ?」
などと言うと、
ビンタされた上に散々怒鳴られるのが予想出来る。
「(離婚した~い)」
毎回思ってることを心の中で復唱するリンリン。
しかしモロンは離婚と言う言葉を聞くと
すさまじい暴言とビンタを飛び交わせ、挙句に離婚出来ないようにと家の一室に鍵を掛けて閉じ込めてくるのだ。
(さいってー!)
リンリンはポジティブに考え
これは!
喧嘩に強くなるちゃ~んす!
とばかりに
モロンに勝負を挑み、
・・・
・・・
すっかり素手での喧嘩に強くなってしまった。
(どんだけ殴り合ってるのかと)
・・・といういきさつがある。
で、
どこだ。
「ヴィンセントってやつの屋敷は」
あ、
えと
ヴィンセント、っていう当主はだいぶ前に亡くなっていて。
今は親戚が継いでいるの
苗字は、、ケイン。
だから
ケイン屋敷は!
イラついた声でモロンが急かす。
あ、えっとね、、
事前に地図で調べておいた場所をキョロキョロと探すリンリン。
「む、昔だから住んでいる人が全然関係ない人だったり、、」
家自体改装されて何も情報得られなかったりして、、
まぁとりあえず行くぞ
リンリンを促す。
あ、
あった!
見ると、噴水がある庭のある 大きな屋敷が見えた。
「確かここよ!」
・・・おまえ、地図とかメモとか持ってこないで頭だけで覚えてここ来ようとしたの?
モロンが言う。
「だ、だって、場所だけ見たら何となくここ、って分かるから」
だから混沌だって言うんだよ
そういうのは地図持っていざという時に備えるもんだろうが!
「(見つけたのに何で怒られてるのよ~涙)」
しかしモロンの言うことは正論である。
こういうリンリンだからこそ、こういう夫が合っているとも言えよう。
さ、行くぞ
颯爽と迷いなく歩くモロン。
「(私だったらこんなとこ、、違う世界すぎて緊張しちゃうのに)」
モロンさんて頼りになるぅ
先程のどうしようもない事件?を許そうと思うリンリンであった。