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名前



あまりのことにしばらく呆然と考え込んでいた美織。




「あ、あの 名前。 名前を呼ぶだけで駄目なの?特別な名前を呼ぶっていうだけで」

いくら何でも、、


玄宗「何を言っている」


名前を知ることは、その人そのものの存在を知ることだ。


「なにもない存在」

に名前などないだろう


名前を知ることはその存在を縛ることが出来るのと一緒だ。


そ、、

美織「それは 聞いたことあるけど、、」


特に女性は名前を知られないようにしろ、って昔は言われていたらしい、、というのは聞いたことがある。


だから、、


玄宗「アレクシスと呼んでくれ。

その方が助かる」


美織「分かった・・・」


名前を呼びさえしなければいい、ということではない

玄宗「念のために言っておくが」

特別なことを、・・・濃度の高い行動、言動を俺に対してするな、ということだ。


「あい・・・」


顔を両手で押さえ、雲の椅子に座りなおす玄宗。



あの!

美織「さっきの、、麻薬のこと詳しく教えてくれないかな。

魔力とか 仙術とか・・・そういうの」


何故、私がそういう存在なのか。
どうして、って。


話聞いてると、相当やばい存在なんだけど私、、、



「・・・さっき言ったのと一緒だ。「メイチー(美織)」、というのは冥界の王の名前と発音が一緒なんだ」


冥界とは、地界へ行く手前の関所のようなところで、

ここで地界へ行く人間たちが 事前に玉清仙人などの高位の仙人達から報告を受けた上で、

冥界の王に様々なことを調べられるという場所である。


「冥界の王は、女性だ」

ひとつ前、そして現在。


玄宗「ひとつ前の王の名前は『砂乃(シャナイ)』」

現在の王の名は『梅侈(メイチー)』


・・・更にもうひとつ前の王はとても強大だった。

男性で、

名は『フェルディナンド』



その瞬間


ぶわっ! と髪の毛全部が後ろになびくような感覚がした。


キィィィィィン!!!


青い炎を秘めた エンペリシャス(フェンリルナイトの上位職)。

冷酷無比で!

一刀両断して相手を叩き切る。


う"っ


え?

え?

「あれは私!」

思わず声を上げる。


ひとつ前は「沙奈(シャナイ)」

今は「美織(メイチー)」


ふたつ前の前世

「フェルディナンド って言う 名前だった、、と思う・・・」


例え強力なウォーロック(ウィザード系の最上位職)でも、

ふたつ前の前世は視ることは出来ない。


名前を出されて覚醒したのか?

そんな簡単に・・・。


でも!

「(怖い。間違いない・・・。あの人は私・・・。怖い・・・)」

青い炎を目にたたえた、エンペリシャス。


強大な力を持っていた。

その力が 自分でも恐かった。

そんな記憶が蘇る・・・。


思い出したか。
玄宗が静かに言った。


おまえは

冥界の王たちとことごとく名前が被っていると思った。

「俺はメイチーとシャナイしか知らなかったが」


冥界・・・


美織は不吉なその響きを聞いて目の前が真っ暗になった。



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