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第4章:葦原中国での話

第10話:カミムスビ

新解釈の古事記


少し、肌寒い。

スサノオと、宗像三姉妹は、
近くの森にあった樹で、即席で作った大きめの机を囲み、
何故か近くにあった、大きな石を椅子にして座っていた。

根の国へ行く地図を、三姉妹の詳しい話を元に一生懸命作り、
うーん・・・と悩むスサノオ。

紙と筆などは、
事前にたぎつちゃん(末娘)がたっぷりと持っていたのである。


トントンッ、と地図をスサノオが叩いた。

「早く根の国行きたいなー」

きゃあきゃあと、三姉妹(※娘)に母恋しぶりをからかわれ、
反応にこまるスサノオ。

その前に、オオゲツヒメからもらった種をばらまかないといけない。

ここは河の近くなので寒いし、長く話すには適さないが、三姉妹と父(スサノオ)は
いっぱい話し合った。


数十分後―・・・

ちなみにここは葦原中国である(遅い)


スサノオ「ここと、あと この山。そして―」

種まきの場所をひとつひとつ確認していたのだが―・・・

後ろに気配がしたのでくるりと後ろを振り向いてみたら、
三メートルくらいの巨人がいた。
大きな荷物を背負っている。

物怖じせずに、「そっち!」という意味で
「それ、おおげちゅひめさんの!」
とでかい声で叫ぶスサノオ。

背負っていた荷物は、オオゲツヒメの種が詰まっている袋だった。

三姉妹は「おおげちゅ?」と驚いたが・・・

姉妹の誰かがが立ち上がり、
「か、カミムスビ?」
と比較的落ち着いて言った。

スッ...と何度か変わり、その巨人は「可愛い桃色の布が掛けられた板」になった。
宙に浮いている。


この神?は、種まきを代わりに引き受けたい、と強く言った。
「絶対任せて欲しい!」

きりちゃん(長女)が言う。
「何故ですか。わざわざこんなご足労を」
まくのは、恐らく五~六年は掛かるだろう。
それで言ったのだ。

ザーッ、と優しく河の音が響く。
寒いはずの空気が、何となくシャキッとするような気持ちの良い冷たさになっている。

しばらく黙っていた、板姿の神は
『私はカミムスビである』
と重低音で言った。

初め照れて見ていたが、
はるさんとなつさんの、、「男女の結びつき」による生命の繁殖。
葦原中国の『男女』が基盤になっている美しさ。
この国の役に立ちたい。

他に色々言いたいけど・・・
きっと種をまいてみせる


・・・とのことだった。

造化三神は全ての神の上に位置する神で、
その一柱であるカミムスビが、何故ここまで・・・
とスサノオは固まった。


オオゲツヒメからもらった、かけがえのない種である。
スサノオは「いや、自分でやる」と言って譲らなかったが・・・

きりちゃん(次女)が立ち上がった。
「父上!男女の仲の良さに感動なさった、って・・・
あなたの、父上のお父様とお母さまは?
そのことだってきっと」

カミムスビはきっと。


少しして、カミムスビは例の大きな麻袋を、
スサノオは不思議な細い布をカミムスビよりもらい受けていた。


第4章:葦原中国での話「第10話:カミムスビ」


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