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第4章:葦原中国での話

第11話:力

新解釈の古事記


カミムスビがスサノオに渡した、細くて長い布。
それには赤黒い字で色々と書かれていた。

気付くと、タカミムスビも横にいる。
とても小さな何か(置物でもない)に、なっている。

タカミムスビとカミムスビと、二柱で作った布なのだと言う。


スサノオは、左腕に、布をくるくる軽く巻いてみた。
「俺、右利きだけどねー」

すると、腕に巻かれた布が、スゥ...と腕の中に溶け込んでいった。


スサノオの、あまりにもでかい、精神:肉体配分の「肉体」の数値をどうにか出来ないか、と
タカミムスビとカミムスビが色々と調べ、とうとう完成したのが
この布なのである。

その布は、念じればすぐに取り出せるようになっていた。
布を巻いていない、片方の腕の方で、指でシュルッと取り出せるようになっている。


溶け込んだ布は、龍のとても美しい模様になって、
スサノオの腕に浮かび上がった。



呆気に取られる、カミムスビ。
カミムスビ「この布が、腕に溶け込んでいる時は、力が―・・・肉体配分が「8」から「3」になるのに。
「3」になってる時も、つ、強そう・・・(汗)」


何だか情けないな・・・と言うスサノオ。

海の神も出来ない、姉上にも迷惑を掛ける、・・・オオゲツヒメさんも弑することに―
こうして、おふたり?に種をまいてもらって。

布まで―・・・と言うところで、「待って!」とタカミムスビとカミムスビが止めた。

タカミムスビが言う。
「私は(種を)まかないぞ?っていうか、マイナス思考なおまえなんておまえらしくない」



数十分後―

スサノオとタカミムスビカミムスビ、
三姉妹が
机を囲んで座っていた。

タカミムスビとカミムスビは机の上に乗っている。

「まぁ、なんだ。
その布があるから何とでもなる。
おまえの力は強すぎるから、なくすなよ。

まぁ、布を外している時は、周りをふよふよ漂うから、なくしようがないが」

とタカミムスビ。


スサノオは突然鋭い目つきになった。

「きりちゃん、ここいらで、すごく悪い荒ぶる神はいない?」
ガッ、としまちゃんが立ち上がった。
「どういう意味です?まさか・・・」

「・・・闘いたい」

根の国に行くまでに、せめて今まで皆に迷惑を掛けてきたこの「力」で
荒ぶる神をやつけたい。
とにかく強いやつが欲しい。

とのことだった。

「やっちゃえやっちゃえ。強いやつねぇ~」
たぎつちゃんがパラパラと小冊子のようなものを(小さかったものを、元通りの大きさにした)
めくった。

「これかなぁ、でも、、これは。無理かも」
明るいたぎつちゃんがあるページを見た。
少し青ざめている顔を見て、

「(それだ!)」
と思ったスサノオ。



『八俣遠呂智(やまたのおろち)

八つの頭と八つの尾を持ち、山八つ分の大きさがあり、背中には森がある。
近くの村のめぼしい娘を標的にし、妻にしようとする。
断ると(略)』


たぎつちゃんは益々顔を青ざめさせ、
「ご、御免なさい」
と言って、新しいページをめくろうとした。

「これでいい」
スサノオは言った。


第4章:葦原中国での話「第11話:力」


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