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第4章:葦原中国での話

第13話:ヤマタノオロチ

新解釈の古事記


クシナダヒメが住んでいる家は、周りの家が全くなく、近くに海がある。

食べ物をもぐもぐ食べながら、スサノオは横にいるクシナダヒメに訊いた。
「もらわれちゃった女の人たちはどうなるの」

「・・・お世話をする女性になります。・・・ヤマタノオロチは山の向こうに大きな御殿があって。
そこを色々管理したり、掃除したり、維持が大変なので。
そこで働かされるのです」

山、八つ分の大きさの大蛇が住む御殿。
どんなに管理やら修繕やらが大変だろう。

確かに、女性たちが多くさらわれるのも分かる。
しかしキリがないのではないか。

海の波の音を聞きながら
クシナダヒメが答える。
「でも、仕方ないと思いました。
両親だけが心配で・・・」

スサノオは驚いた。
食べていたものが、クシナダヒメに掛かる。
「ヘンなことされている訳じゃないのね?」


ちなみに、ふたりがいるのは、現在で言うところの縁側、のようなところである。


少しして―

「ホントに良かった・・・」
スサノオが小さな声で、心から安心したような声を出した。

・・・

そして。

右手で顔を覆って、少しうつむいていたスサノオだったが。

くるりと振り向いて「棺桶、作るぞ!」
と言った。

何故か陽がとても射し、
すごく良い天気になっていた。


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さて。
ヤマタノオロチが来る夕方あたり。

スサノオが器用に作った棺桶に、
これまた汚い字で「ЛクフИС×I3ココ二II々ζ」と書いた紙を貼った。

「クシナダヒメはここにいいます」と読む。

クシナダヒメとその両親を少し遠くに避難させ、スサノオはその棺桶に入った。

そして、空気穴があるので、その空気穴から息を吸って、
少し経って寝そうになった頃。

ヤマタノオロチがやってきた。

八つの頭のうちのひとつだが、棺桶の貼り紙を見て 何て書いてあるの?と
というような顔をしていた。
棺桶を注意深く観察し、
頭を上げ、一気に襲い掛かった。

あっ
クシナダヒメはどうしてもスサノオが心配で
棺桶を遠くから見ていたのである。
(彼女も国津神なので、視力が人とは違うのであろう)

消えた?

棺桶が開いた瞬間、中身が空っぽになっていた。

「い、いやぁぁ...スサノオ様ーっ!」
クシナダヒメは絶叫した。

食べられてしまったのかと思ったのである。

ヤマタノオロチに居場所がバレるだの彼女にはもうどうでも良かった。


一方、その数分の間に、スサノオは丁度尻尾と胴体の境目の場所に辿り着いていた。

全く視認することが出来ない速さで、棺桶から飛び出し、あっという間に跳んで大蛇の頭を駆け抜け、
胴体の森も一気に走り切ったのである。
(どんだけだ)


棺桶の中から出た時に「あっ外すの忘れた」と急いで左腕の布(例の布)を取り出したことを思い出す。
布は綺麗に折りたたまれていて、服にそっと付いていた。
外そうとするとスッ...と外れる。


「(さて、宝剣、だな)」
彼は辺りを見回した。


第4章:葦原中国での話「第13話:ヤマタノオロチ」


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