三姉妹は「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」と言った。
道の神様で、あらゆる『道』に精通していた。
ツクヨミ「(いずれ・・・根の国?に行くのだろうし、
種もばらまくのだろうし)」
スサノオの母恋しぶりを知っているツクヨミは、
世界のあちこちにあり、且つ探しにくい『根之堅洲國(根の国)』へすぐに行けるようにと、
スサノオの娘たちを連れて来たのであった。
「(惜しいな)」
弟ながら、非常に優秀な神。
本当に惜しいと思った。
あまりにもでかい麻袋を、三姉妹の末っ子、たぎつちゃん(※愛称)が『小さくなる術法」
を使って、とても小さくした。
と言っても、まだ担ぐくらいの大きさはあるのだが。
わいわいわい
三女神とスサノオがツクヨミの社を出て行くのを見るツクヨミ。
種がちゃんとばらまかれ、そしてスサノオが幸せに過ごせることを、彼は心から祈っていた・・・。
カチャッ
お茶を片付け、
弟と、その娘たちが去って行った後の片付けをする。
まだここ(葦原中国)にいらっしゃいますか、とこの社の守り神が問い、
「いや・・・カグツチの社を・・・見る」
とツクヨミ。
今日は、雷が鳴っていた。
あの日も。雷が鳴っていた。
彼女は。いるだろうか。
ツクヨミは少し足早にカグツチの社に行った。
ピカッ!と雷は光り、あっという間にザーッと雨が降る。
いた!と思ったら、彼女は前に見た時よりだいぶ幼くなっていた。
幼く見えていたと言うべきか。
葦原中国に火が出来たことをそれとなく感じ、火の神であるカグツチをすぐに知り、
挨拶しに来ているのだが、
一向に会えない、としょんぼりして言っていたのだ。
雨が降っているので、急いで本殿の軒先に駆け込むふたり。
「また会いましたね」
とウルメ。
一度目は偶然に会い、
二度目は、緑色の炎を作ることに成功し、(癒しの炎。高天原限定)
道行く誰かにぶつけて驚かそうと待ち構えていたウルメが、ツクヨミにぶつけた。
たまーに、あなたに会いに来ましたよ。と
無表情でツクヨミは言う。
そしてふたりともまだ、カグツチに会っていない。
ツクヨミがスッと立ち上がる。
「雨が上がりましたね」
びょおぉおぉ...
雨上がりの海。
ふたりは大きな岩の上で、横並びに座った。
「私はあまり目立たない」
雑談を経た後で、
ツクヨミがそう言った。
その声も、別に小さい声という訳でもないのに、とても薄い感じである。
そう。声ですら。
カグツチの話をしていて、自然に三貴神(アマテラス・ツクヨミ・スサノオ)
の話になったのだが・・・
姉は最高神、弟は素晴らしい素質を持っている(何をするかは別として)
・・・と、言っているようなオーラ。
「そこがいいというか。
どういう神様なんだろう、と思われるというのは・・・素敵だと思います」
神秘的で謎があること自体が、目立っている。
し、静謐なことは素敵なことです。
と、ウルメは静かに言った。