スサノオのマスター・ピース:「大物主(おおものぬし)」の物質力を豊かにする力、
葦原中国の元々のバランスの良さ、
そして、スサノオの六代下の子孫、オオナムチの血が葦原中国に行き渡り、、
葦原中国はとても豊かになっていった。
精神だけでなく、物質的にもとても豊かに。
いつぞやの「オオゲツヒメの種」が国中に広がり
稲穂が実る、様々な穀物が実る豊かな国になったのだ。
スサノオの子供:大物主命
スサノオの六代下の子孫:オオナムチ
スサノオがきっかけとなったオオゲツヒメの残した穀物の種・・・
図らずも、スサノオが葦原中国を豊かにしていったのである。
人間たちは自分たちの遠い祖先であり、豊かさの根源である『スサノオ』を忘れることはないだろう。
今でも、スサノオの名が特に知られているのは、人間の本能的な部分が働いているがゆえ、かもしれない。
さて、アマテラスは天上から葦原中国を見て、その美しさに見とれた。
こんな豊かな国ではあるが、
やはり精神:物質の配分が7:3なので「すごく丈夫!」という国ではない。
台風だとか津波だとか、普通程度に災害はあるだろう。
そしてなにより、海の神:スサノオが海を治めていない。
(※理由)
天上、つまり高天原が葦原中国を管理し、治めるのがいいのではないか?と
彼女は思った。
彼女の子孫を葦原中国に送り、
その子葦原中国を治めさせる・・・
そうした方がいいかもしれない。
天が管理した方が。
オオナムチの邸。
妻問いの旅をスセリヒメとやり遂げ、
数十年の月日が経っていた。
相変わらず二十八歳の見た目のオオナムチ。
知恵の神があちこちにおり、その知恵の神たちがオオナムチの邸でオオナムチに仕えている。
もう、「大国主命(愛称:オオクニヌシ)」と名前を代えている。
国中の祖先に当たる存在になるのだから、とスサノオがスセリヒメ越しに勧めた名前である。
210柱もの子供たちを作ってしまった。
オオクニヌシは「変な男神として後世に残るだろうなぁ~女好きだよなぁ~」とつぶやいた。
諦めを含むような声で。
傍の知恵の神(のうちのひとり)は「いいじゃないですか。モテて。後世ではそう残ります」と言った。
邸は海のすぐ近くにあり、
とても見晴らしが良い。
「本当は本妻(スセリヒメ)ひとすじ、って
伝わらないかな」
とオオクニヌシは聞くが
「・・・・・・難しいと思います」
と知恵の神は渋い顔をして言った。
その夜のことである。
オオクニヌシの寝室に、アマテラスが現れた。
とても驚いたオオクニヌシであったが、
「あ、えーと・・・す、スサノオさんの姉上?」
と言った。
美しいアマテラスは窓から入る月の光で輝いている。
「ご相談があって、参りました」
香の香りが漂うような不思議な心地良さがある声であった。