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第5章:大国主の話

第6話:スサノオとの邂逅

新解釈の古事記


オオナムチの話に戻る。
彼は妻問いを続けていた。

ある海沿いの道、オオナムチは背の低い小柄な少女と歩いていた。
かなり疲れているようで、棒を両手で持ってフーフー息をつきながら歩く。

「・・・なんかさ」
ん?と相づちを打つ少女に答えるオオナムチ。

「こんなに多くの女性に子を作らせるとか
かなりいい加減な男として・・・
名を馳せちゃうのでは」
と言うオオナムチ。

すぐ横で海の波の音が聞こえる。

横の少女は目をくりっとさせながら可愛く答える。
「大丈夫ですよ。私を大切にしてくだされば」


一か月前―・・・

妻問い中に、中国地方のどこかで疲労のために倒れてしまっていたオオナムチ。
時は昼頃で曇っており、倒れていた場所は海の傍。
砂浜のような場所。

行き倒れという程ではないが、気分的なものもあり、
何となくうつ伏せでドタリ、という格好で休んでいたら、
大丈夫か、とある少女に声を掛けられたのである。

初め、妙な感覚に陥り、黙ってしまったというか、呆けてしまったオオナムチだったが、
やっとその少女と話し、そしてその少女がスサノオの娘であることを知り
住んでいる邸に行った。

その家は床となる部分がとても高くつくられていた。
現代で言うところの、
『一階が車庫になっていて、二階が住居。
・・・になっていた場合の、車庫がない』
のような造りで、
かなり大きい。そして奥行きがある。



スサノオはどう考えても
少女の兄としか思えないような、少年と青年の間のような見た目をしていた。


[ 説明 ]

1、天津神(高天原に住まう神)は歳を取らない
2、国津神(葦原中国に住まう神)は歳を取る
3、寿命が来れば、黄泉の国に行き、そして肉体が消える。
4、魂だけになった国津神はそのまま、黄泉の国か葦原中国に住まう。


外見はそのまま、内側の精神年齢が反映される。


オオナムチは「自分がその血脈を広げなければならない張本人」そして「六代上の御先祖様」、
スサノオに会うことに緊張していたが、
十六歳くらいの見た目に驚いた。

スサノオは(現代の感覚で言うと)中学生以上高校生未満のような見た目、
オオナムチは子孫にも関わらず、若いのだが若すぎることもなく、かといって歳を取ってる訳でもない
二十八歳くらいの見た目である。

少女は十四歳くらいだろうか。



オオナムチは今までのことをスサノオに説明した。

スサノオにとっての五代下、つまりオオナムチの父のこと。
スサノオの血を絶やすまいとしたこと、妻問いをしている理由、子供のことなど。


話を聞いて、スサノオはツクヨミの落ち着きをオオナムチに見た。

自分の子孫なのだから、自分に似るはずなのだが、
自分の兄の雰囲気に似ている。

伯父と甥が良く似る現象の、はしりなのかもしれない。

「子孫にそんな大変な思いをさせているとは―・・・
なんか申し訳ないな」
と前置きをして、スサノオは横にいる少女を紹介した。

「私の娘、スセリヒメだ」


スサノオは話し始めた。

「・・・クシナダヒメが寿命を迎えた時、
丁度『猫』という動物が出始めた頃で・・・」

少女は少し緊張しているようであった。

三人の中央あたりに置いてある灯りは、小さいはずなのに不思議と部屋と程よく
明るく照らしていた。


第5章:大国主の話「第6話:スサノオとの邂逅」


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