体から水が出る感覚。
確かスサノオが母親を恋しがって味わった感覚だということを知っている。
こういう感覚だったのか、、とアマテラスは思った。
何故体から水が出るのだろう。
鼻の部分がツゥーンとするし。
締め付けられる心の叫びを、体が請け負ってくれるのだと思った。
これが肉体の、生きる喜び・・・
そんな風に思った時、
貴女は
おおいなる火ですね。
琥珀色の瞳が暗い中光っている。
いつの間にか、世界が夕方のような現象になっている。
橙色の光が射している。
「(樹・・・樹と樹がこすれ合うと火が生まれる・・・。
火と
あるのは、その名前から来ているのね。
日の子である葦原中国の統治者は、
アマテラスは様々な思いを抱いた。
一段上の世界の存在の証を遺す・・・
その存在が、自分の治める葦原中国の統治者になる。
つまり、その存在は、
現在自分がいる
恐らく、そうなのだ。
そうなのである。
天皇という存在が、誰も手を出せないのは、
世界の中心である
天皇は、天照大御神よりも、上なのである。
「(これは、誰にも、言ってはいけない・・・
この方と、もうすぐ消えてしまうけど。
私だけの秘密にしておこう)」
アマテラスは、空気に想いを残した。
その感情は、足りないものを補おうとする、我々の感覚と、同じだった。
三か月後、 神武天皇イワレビコ、誕生。
アマテラスは葦原中国を降りながら、
ふわふわと島々を浮遊していた。
高千穂と後に呼ばれる場所で、優しい心を持った、「五瀬(いつせ)」という少年を見つけ、
とても感動した。
この子の兄弟として、イワレビコを育てさせようと。
アマテラスの子とは言え、葦原中国の統治者になる存在である。
幼児期に葦原中国の人間に育てさせるのが良いと思った。
とても聡明で、まるで土の色と同化しているような、優しい存在は
五瀬命(いつせのみこと)と言い、イワレビコの兄として選ばれた。