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第6章:天子降臨

第9話:優しい声...

新解釈の古事記


女性は、イワレビコの質問に全部答えた後で、絵本が教える色んな教訓を教えた。

『私の息子、オシホミミは、ここ、葦原中国(地上)に降りるのが怖くて、
息子のニニギ(架空の存在)に行かせたわ。
父親の威厳は見せないと、という教えね』

いきなり声を上げるイワレビコ。
『息子?息子なんているんだ(←アナタは五代下だよ)
息子さんはどんな神様?何人いるの?』

・・・
紹介するのも面白いな、と女性は話し出した。

長男のオシホミミは、優しくて聡明な子よ。
次男のホヒは、気まぐれで、それで兄弟思い。兄を、心から尊敬しているわ
三男のヒコネは捉えどころのない不思議な子。透明っていうのかしら
四男の、、

あ、五柱いるのよ。
女性は付け加えた。

四男のイクツは、優しくて、常に皆に心を配っている、本当に優しい子。
末っ子のクスビはとても可愛らしくて、女の子みたいに髪をいつも垂らしている。

・・・
聞きながら、イワレビコは思った。

『・・・ぼ、僕とどっちの方がか、可愛い?』
じーっと、純真?な目で女性を見る彼。

『あなたよ』
即答する女性。

えっ

ドシッと後ろに尻もちをつくイワレビコ。


『・・・だからね、私のこと、忘れないで、
ずっと血を繋げていってね』

『母はいつでも、あなたを見守っていますからね。
愛しい子・・・』


・・・?


目の前が光が反射したように眩しくて、うっ、と身をかがめて目をつぶるイワレビコ。



気付いていたら、天を眺めて、泣いていた。




現在―・・・

ヨリヒメは、切なそうな顔をしているイワレビコ(神武天皇)を心配そうに見守っていた。

三種の神器、と後で名付けたものは・・・
アマテラスの血をひく証拠の品だと後で分かったものは・・・
家に持ち帰った時、山の時とは違う大きさになっていた。

「何か、言われたような気がする。最後に。―最後に」
右腕で顔を覆い、思い出せない。と言う神武天皇。

爽やかな風が通る中、ヨリヒメが言った。
「きっと記憶が消されているのよ。
神様はきっと、あ、アマテラス様はきっと言っちゃいけないのに言ってしまったのだわ。
大切なことを・・・」

大切なことを・・・


もちろん、絵本のことを、神武天皇は言っていない。
そこの部分はちゃんと省いて説明した。



そして思い出す神武天皇。

『女性を顔で見ると、とても大切なものを失うわ
(=ニニギの、咲弥姫と石長姫の話)』

『自分の不得意分野に手を出すことは、とても危険なことよ
(=海幸彦と山幸彦の話)』

『困っている時は、必ず救いの手が差し出されるわ
(=山幸彦が、わだつみ宮(竜宮城)に行く話)』

『異類婚姻譚(いるいこんいんたん)という概念もあるわ
(=山幸彦と、豊玉姫(サメ)の結婚)』

『言われたことは守りましょう。辛いかもしれないけど
(=山幸彦が豊玉姫の出産を見てしまった)』

『純血を守るために、血が近い者同士で結婚するのはしょうがないわ。
でもずっと続けるのは危険よ
(=玉依姫とウガヤフキの結婚。叔母と甥の関係)』

『あなたと、兄のイツセは本当に仲がいいわ。
兄弟助け合って、生きていってね』


えっと、ウガヤフキ・・・
お父様だ。
分かりにくいよ。

お姉さんからどうやって僕に行き着くか教えて。

そうも言った記憶。

そっと、差し伸べられた手。


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