第1話:国産み、神産み
無事、島が作れて、
ふたりはどんどん島を作っていった。
そうして「7:3」という配合のもと、日本列島が形作られていった。
「次は神産みね!」とはるさん。
たくさん、神を作らないとと意気込む彼女。
海の神、河の神、野の神、山の神、風の神・・・
たくさん神を作っている最中に、
なつさんは寝そべりながら「良い名前」一覧を紙に書いていった。
そのうち、淡島がとうとう(島として)固まり、父親であるなつさんが、
日本列島のどこかに設置?することになった。
「丁度ここの国の中央で、暖かいところに置こう」
(現在の和歌山県の西側に)ピチリと置いて
元気に育つんだぞ、と頭をなでなでし、ポンポン、と肩を叩いた。
(これは島の中にある魂に対し)
「水蛭子がいないわ!」
オノゴロ島に帰って来ると、はるさんが慌てていた。
彼は肉体が「2」なので、外見からはどのくらい育っているのか分からず、
とっくに成長しきっているのに、ずっと育てていたと思われる。
ひとり立ちをして出て行ったのだろう。
はるさん「何も言わずに出ていくなんて・・・」
彼女は心配した。
ある日の会話を思い出すなつさん。
『おまえは精神性がある。
葦の舟に乗って・・・色んなところに行って。
まぁいつかだけど。
色々・・・見聞が深められたらいいな』
なつさんはそういうことを過去に話したことを、はるさんに言った。
「でも黙って行くなんて」
はるさんがそう言い終わる前に、水蛭子の手紙を発見するふたり。
『父上、母上、何も言わずに突然出て行ったのを、さぞ驚きになったでしょう。
私はもう子供ではありません。
恥ずかしくてつい、こういう決断をしてしまいました。
とうとう、昔父上に教えてもらった、「葦の舟」を完成させたので、
そして私のような体が弱い者でも心配なく乗れるように作ったので、
出て行くことにしました。
葦の舟で、遠く様々な処へ旅をし、様々なものを感じ、それらを吸収して立派になって帰ってこようと思います。
ただ、そちらへ行く頃には、私は全く別のものになっているかもしれません。
また会う日まで』
涙ぐんでいたはるさんだったが、
ふと「水蛭子って何の神なのかしら・・・」
と疑問に思った。
最初に作った生命で、「島」として決めて産んだ訳ではないので、
「神」なのであろう。
『そちらへ行く頃には、私は全く別のものになっているかもしれません』
はるさんは、いつかまた、水蛭子に会えるのを楽しみにしていた。
「名前なんにしようかなぁ」
なつさんはのんきに言った。
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