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ふることふみ

新解釈の古事記 
TOP章ごとの目次第2章:国造り

第2話:神避り


その後も、ふたりは神々をたくさん作っていった。

しかしある時、とんでもない神が産まれてしまった。

占いの神: 緋和真神 あかなごまのかみ (愛称:アカナゴマ)である。

丁度なつさんは、葦原中国(あしはらのなかつくに=日本列島)に行って、神々たちの様子を見に行っていた。

占い、というのは、自然と一体化しようとする力や意思があって、、・・・そして運もあって。
それで初めて価値を成すものだ。

「占いの神」がいることは、
一生懸命英語を勉強している日本の学生に、
『何でも英語を翻訳しますよ』という精霊が付くようなものである。

占いはしばしば「予言」にも繋がる。

この神は強すぎる、世界のバランスが崩れてしまう、とはるさんは判断した。
実際に強いというよりは、「要素」がヤバイ、ということだ。

何となく直感で、「なつさんに見せてはいけない」と思ったはるさん。
緋和真神(あかなごまのかみ)、という名前を与えて、
葦原中国のどこかの島にそっと隠した。


はるさん「あなたがいると、世界のバランスが崩れてしまうの。
でもいい方法が見つかったら、迎えに来るわ」
はるさんがそう言うと、

「それより聞いて下さい。
次の生まれる子は「火の神」です。
母上は大火傷をして神避り(神が亡くなること)してしまう」
アカナゴマは言った。



オノゴロ島に帰って来たはるさん。

アカナゴマのことは秘密なので・・・
「神産みをやめたい」と言った。

「駄目だ」
即答するなつさんだったが・・・

もう充分すぎるほど神々を産んできたし、いつか火の神を産んだら怖い、と
はるさんは言った。

『火』・・・それは高天原にしかないもので、とても神秘的でとても危険なものだ。

はるさんの話を良く聞き、
「もう産んでしまってからじゃ遅いし、今気付いて良かった」
と納得するなつさん。

もう神産みはやめよう、ということになった。

・・・が、愛し合うふたりにそれは無理な話であった。




「うわっ、やっぱり火だ!」

お産がやけに苦しそうだったので、産屋へ、様子を見に来たなつさん。

火の神が生まれていた。
名を 火之迦具土神 ひのかぐつちのかみ (愛称:カグツチ)。


数日後。
ずっと苦しみ続けるはるさん。

丁度いいチャンスだと、体液を使って神々を次々に生み出す彼女。

なつさんは言った。
「もういい!もういい。休んで!」

彼女は徐々に体が紫色になっていった。

「か、カグツチに言って。
あなたのせいじゃない、って」


はるー!
はるー!



・・・
はるさんは埋葬された。



ごろごろ。
やる気の無くなったなつさん。

ぼんやりと思い出す。

「なんか、はるが何か言ってたな。
何だっけ」

『カグツチに言って。
あなたのせいじゃないって』

すぐに立ち上がり、
「おまえのせいだ!」
とこぶしを振り上げてカグツチを責めるなつさん。

ピューッ!と逃げてゆくカグツチ。

・・・その、カグツチが落としていった火の粉で、
さまざまな火の神を作ってゆくなつさん。

手の平に涙が大量にあったのである。


第2章:国造り「第2話:神避り」


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