第19話:八雲立つ
次の朝からまた、宮殿(家)のすぐ傍の森林から、樹を採りに行って作業する日々が始まった。
(というか、ずっとそれだが)
一応、その森の、木の神を呼び寄せ、宮殿を建てるための木が必要なこと、切った分はまた生やしておいた方がいい、と
言っておいたスサノオ。
切った分はまた生やす、というのはその森の勝手なのでおせっかいだが・・・
スサノオ「(これが終わったら、海の統治を・・・)」
身を固めたせいか、少し変わった感じのスサノオ。
とはいえ、飽きっぽいスサノオ&全部をやったら絶対トラブルになる、なので
近辺の海、と決めているのだが・・・
あんな可愛い、姉上そっくりのこが、何故・・・
スサノオは、自分が好かれている意味が全く分からなかった。
「(しかも・・・お嫁さんて 俺に?)」
勿論スサノオも、クシナダヒメは姉のアマテラスに似ている(顔)し、
不器用なのに一生懸命色々と頑張る姿とか、とても愛しいと思っていた。
クシナダヒメは、スサノオと結婚出来る喜びで、頬を桃色に染めながら、
張り切って稲作を間違えながらも頑張っていた。
しばらくして、クシナダヒメのための、人形造りの家が建てられた。
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八雲立つ 出雲八重垣
妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
(なんてたくさんの雲が立っているのか
出雲に宮殿を作るぞ
妻を守るための・・・
宮殿を、造る)
スサノオは、クシナダヒメを深く愛した。
それはもう深く愛した。(直情型)
すがすがしい土地、ということで、居住地を『須賀』と名付け、
ふたりは子をもうけた。
そして末永く、幸せに暮らした。
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一方 ―・・・
場面は変わり、とても重苦しい雰囲気の、高天原。
太陽の神殿、アマテラスの謁見の間。
謁見をしているのは、顔面蒼白になっている男性。
アマテラス「あなたがやったことは、重罪です」
ミカヅチは反射的に返事をした。
「分かっています!
分かっていますが・・・良く分かりません。
まさかそんな」
混乱しているのか、ミカヅチは「言葉分かってますか?」と聞いている人が思うような
会話をしていた。
「剣をこれへ」
アマテラスは側近の女性に言う。
女性はすぐに、剣を持って来て、掲げた。
アマテラスは上品に剣を受け取り、そして目の前にあるとても薄い布から出て来て、
目の前の階段をそろそろと降りて行った。
優しく、両手で剣を、ミカヅチに差し出し、
「これです。
抜いてご覧なさい」
と言った。
しばしのやり取りの後、
ミカヅチは立ち上がり、剣を抜いて、その素晴らしさに、焦りや辛さを忘れて、少し喜びの表情になった。
感心してじーっと魅入っていると、
「あなたの、剣の破片が、それを生み出した」
とアマテラス。
後ろを向いたまま
「分かっています」
とミカヅチ。
第4章:葦原中国での話「第19話:八雲立つ」
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