小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
行動!
何度も断られた、威俐との面会。
(by 音楽)
効率良く、庭(庭園)のメンテナンスの仕事を終え、
お風呂も入ってひと息ついている妃羽。
「(暘谷さんのことで、相談がしたい)」
パラララララッ......
先日、正に見せたライチーのデザインのスケッチ図。
「(これも見せたいなぁ)」
暘谷に絶賛された『業火』『挑戦』
(『森林』の次に良いらしい)
それらも聴いて、もらいたい・・・
・・・そんな欲もあった
ユウ「おまえさん、また威俐サマのこと考えてるのか?」
・・・
「うん・・・」
少し戸惑うユウ。
「や、暘谷さんと一緒に行ってみたら?都合が良い時に。
悶々としているよかいいと思うぜ」
ユウの言葉を聞いて複雑になる妃羽。
色々と複雑なことがあって、威俐と暘谷には少し溝が出来てしまっている。
鴻日にもそれを指摘された。
のんびりとした感じでユウが言う。
ユウ「丁度誤解を解くチャンスって考えろよ
ポジティブにさ」
バサッ
ユウは棚からカバンを取り出し、楽譜やらスケッチブックやらを中に入れ始めた。
妃羽「あ、あの」
ユウ「後は暘谷さんだな。
今講習会に行ってるみたいだから、帰ってきたら一緒に行くんだ。
分かったか」
暘谷は今頃は威俐の右腕としてあちこちと忙しく働いている頃だ。
しかし妃羽絡みとのことがあり、威俐との関係が少し複雑になってしまったため、
暘谷は「秘書としての仕事」から「秘書育成講座の講師」のような立場に
一時的に追いやられている・・・という状況だ。
妃羽はそれをとても憂いていたし、何とかしたいと強く願っていた。
シャーッ
ユウ「だーかーらっ
おまえさんは意気地が足りねぇんだよっ
動かなくちゃダメだろ!」
口でカバンをずりずり引きずるユウ。
暘谷「なんだぁ?」
帰宅早々、入浴をしようと着替え半分になっている暘谷が声を上げた。
妃羽「その。採用されないかもしれないけど、ライチーの絵を見てもらいたいし。
作曲の曲も聴いてもらいたく」
首に小さな手ぬぐい(日本のもの。有り難い言葉が書かれている)を巻きつける暘谷。
(文字が見える絵)
腕に抱いているユウをぎゅっと抱きしめ、妃羽は言った。
・・・あっ
「そのっ、何とかしたいんです」
暘谷は「待ってて」と行ってサッサと入浴しに行ってしまった。
シャーッ
暘谷「(威俐様はそんな私事でどうこう左右されるような方ではないはず。
・・・やはり当初の予想通り、音楽にまつわることか)」
少し前の日。
>妃羽『何でそこまでっ!』
>わたし今「グリーン家殺人事件」読んでるのに!
>何度読んでも面白い~
>結論:
>1、特別な何かがあるから曲作れ
>2、多分、威俐様がおかしくなったのって原因それ
>3、だからやれ(作曲)
(by ライチーの行方)
ユウとくつろいでいると、白いバスローブを着た暘谷がお風呂から上がってきた。
妃羽「おかえりなさい」
10分後―・・・。
今度は暘谷のひざの上に乗ってのんびりするユウ。
暘谷はユウの頭をなでた。
パッと切り替える暘谷。
「それで?何がしたいの?」
くっと体を硬くする妃羽。
あ、あの
「暘谷さんに迷惑掛けたくないことを、頑張って威俐様に伝えようかと!」
は? と呆気に取られる暘谷。
やなんです!
私が迷惑を、他人に掛けるなんて。
妃羽「私が自分のケツを自分で拭きます!
あとデザイン画も見せないといけないし 曲も・・・」
暘谷は立ち上がって言った。
「汚い言葉づかいするな!不良かおまえは!」
え・・・ 不良・・・
トマト著『暘谷様への礼儀作法レポート』
言葉づかいを、というのを詳しく書いてあったかもしれない
サーッと思い出す妃羽。
(by 台風初日)