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小さな世界 > 第5章「知られざる」

パライバ・ブルー

スピリチュアル・チャイルド。

C層にのみ存在するものである。

大変珍しいもので、珍しさぶりは0.01%以下でも見られないというぐらいだ。

G層の常識で言うなら、超高性能なパソコンが故障してもいないのに1回ミスをするのと同じものである。
何年かに一度、切手印刷所で、人為的なミスが全然ないのに切手が逆向きに(しかも1枚だけ)印刷される、という
場合があると言う。
機械も『絶対にミスはない』ということなのだ。


C層の宝・・・それが『スピリチュアル・チャイルド』だ。
他の層には無い、唯一無二の存在だ。

C層の『キャラーズ』と言える。



それは広いとても広い・・・
深い男女の愛情の精神的な交友の末に出来る。

しかし概念的にもあまりにも有り得ない、というのはこの世界でも認識されており
そのため希少価値、という訳だ。


ちなみにC層は「恋愛」に対する価値観が高すぎて「照れ」の意識だとかが薄く
恋愛における不安定さや悩みはほぼ無い。

自分の愛情よりも相手の気持ちや存在を深く受け入れ、愛するからだ。
欲の無い愛は相手を傷つけたり、或いは拒絶されて傷つくこともない。

D層以下はこの「恋愛の概念」が劣り、不安定になる代わりに
不安定特有の「リバウンド現象」が起こって、むしろ愛情が大きくなる。
(そのため、下に行くに連れて子供の数が増えていく)



夏彦『理不尽だ・・・。怖くないのか清子・・・』
泳ぐ前

ルーリー『アナタはー思ってる以上に清子さんが大好きなの。
変な意味じゃなく。
清子さんに強い力が宿ったのはそのせいよ
まったく』
夢の後


・・・



夏彦、20歳
清子、15歳


当然ふたりは喜んだ。
G層で言うところの『パライバ・ブルー(ダイヤモンドよりも価値の高い宝石)』
を手に入れたようなものだ。


とは言え、ふたりはいわゆる「男女愛」など微塵も持っていない。
純粋な大きな愛の交友の末に出来ただけである。

そのため、「お、スピリチュアル・チャイルド出来たの。すげーな」としみじみ
思い合う、そんな感じで喜んでいた。

丸い光る玉がふわふわ浮き、3日後あたりに妖精のような形になる。
大きめの羽があって、それで飛んでいてキラキラと光の粉を撒き散らす。

そして遅くて1年、早くて4ヶ月あたりに消えてしまう。



本当に、『希少価値があるだけ』の存在だ。

特に何かをする訳ではない・・・(汗)



さて。消えてしまう直前に、父親である夏彦が死ぬほど(大袈裟じゃない)泣き、
あまりにも泣き喚くので清子があやしい黒魔術(こっくりさんとかの)を使い、
助けてもらおうとした。

清子「悪魔でも構いません。わ、私の命とどうか引き換えに、もし宜しければ」
と混乱しながら混乱混乱混乱で目を回しながら何かと契約?しようとした。

そういうものにすがるほど、ふたりはスピリチュアル・チャイルドを愛しており
少し(かなり?)おかしくなっていた。


ある廃事務所の部屋。。

夕刻。

見下した目をした女が降りてきた。
天女と呼ばれる格好をしており、かなり美しかった。


とうとう

「(・・・こ、これが!頭がおかしくなるという状態なのね!
・・・ちゃんと見えてる・・・)」
清子は目をこすった。


女性「私は彩海。そんなに助けたい?」

・・・

言っている意味が一瞬分からずに目が回る清子。
(落ち着いて・・・)


助けたい、と言う清子。

「わ、わたしは」

彩海「地獄に堕ちても構わない?」
挑発的で何とも言えない不快な言葉を投げかける女性。


夏彦『こいつを失うくらいなら俺を殺してくれ!』


あ・・・

「あの!どうなっても構いません!私が全てを切り裂くくらいなんとでもします!
私が全部を斬る!なんでも!なんでも!
全部なんとでもしてやる!
してやる!
何とかして!お願い!」


パンッ!

女性の目の前の何かの青い玉が四方八方に破裂した。




ミーン.....



夏彦「愛、羽?だっけ」

うん
「羽生えてて、、愛の証だから『愛羽』」

夏彦「愛の証・・・きもいんだけど(汗)」



彩海『ひとつ下の世界に、落とします。そういうのがあるの・・・
いずれ、会えるわ。多分・・・』


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愛羽。『神々の黄昏』というC層の小説に出てくるキャラだ。

D層の女性である・・・。


自分のスピリチュアル・チャイルド『愛羽』と
そこに出てくる『愛羽』が同じ存在だということにさっぱり気付かない清子。


これからもずっと、、気付かないまま
世界は終わる。

ただ、消えるはずだった『愛羽』は消えずに残った。



幸せになるのは「存在すること」。
だから、両親は『幸せになって』なんて野暮なことは考えなかった。


これが、C層の両親像であり、『愛の形』である。


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