第7章:その他

第12節:鳥たちの贈り物

第3話:カエルの物語

新解釈の古事記


前頁のスズメをいつも、羨まし気に見ていたカエルがいた。

羨ましいあまりに、「あのスズメをめちゃくちゃにしてやりたい」という攻撃的な気持ちにもなっていたりした。

何故そのような気持ちになっていたのかと言えば、
スズメが美しく見えたからである。

通常は動物が自分の見た目を気にしたり、他の生き物と比べたりはしない。
...そのカエルはたまたま、大層頭が良く生まれたため、そのような、「他者と自分の見た目を比べる、気にする」というスキルを持っていた。

何故か自分の見た目を奇妙だと思い、そしてスズメの美しさに深く憧れた。

...そんな深い想いに気付いた神様がいた。

天の遠くにいる、タカミムスビである。

『何て頭の良いカエルなのだろう。カエルなのに、そんな知恵があるなんて。
突然変異なのか?
...気に入った』

タカミムスビはその聡明なカエルに大変興味を持った。

そして、めったにしないことなのだが、カエルに精神感応テレパシーで伝えた。

『そんなにスズメになりたいのなら、スズメにさせてやろう。
生まれ変わったらおまえをスズメにしよう』

カエルはタカミムスビの声に大層驚いたが、すぐに慣れて、
『いいえ、同じスズメは厭です。
別の、新しい鳥の種族になりたい』
とハッキリと答えた。

【同じ】になるのではなく、どうせなら自分オリジナルのキレイな鳥になりたいと。

タカミムスビはカエルのその発想力に益々感心し、
『分かった』
と答える。


・・・


カエルは次の世で美しい鳥に生まれ変わった。

...美しくはあるのだが、真っ黒かった。

カラスの誕生である。
タカミムスビが一旦地上に降りることで、そのまとう気がカラスになったのであった。

...スズメはアマテラスの気から生まれたが、
カラスはタカミムスビの気から生まれたのである。

そのため、「力の強い証」である黒色になってしまったのかもしれない。

優れた証として、足も三本生えていた。
「優れているから」余分に足が一本多くもあるし、
元々他と違う突然変異の生き物だという証が、次の世にも引き継がれた、ということなのかもしれない。

カラスは再度スズメを羨ましがり、自分が勝手に悪いと思い込んでいる自分の容姿を恨んだ。

...そう、生まれ変わっても、カラスは何故か他の動物と違い、知恵があって頭が良かった。


タカミムスビは己の姿を愛さないカラスに若干ムッとしたが、
カエル(カラス)をとても気に入っていたので、何とかしてあげたいと、何度か通信を試みた。

そして、
『おまえの知恵で以って良い事をたくさんすれば、いずれ美しい白い鳥になるだろう。
ただ、白い動物になるには『弱さ』が必要であるから...
だからもし仮に白い鳥に生まれ変わる場合は、メスになるよ』

と言った。

...
すぐに白い鳥にさせてくれないタカミムスビを恨むカラスであったが、
彼はせっかちに努力をした。


彼は、葦原中国(地上)の生き物が不老不死ではなく、男女の交配に拠ってのみ、世代を繋ぐ生き物であるため、長く生き物が命を繋ぎ、生き物たちが栄え、しいては国が栄えるためには...

「男女の恋愛」が最重要なのであると気付いた。

男女が恋をし、子供が生まれ、そして子供を育てる...
その過程で、一番大切な要素である、『父親と母親が仲が良い』という状態こそが、人を丈夫に、そして強くする要素へと繋がっていくのだということを確信し、
国力を強くする要である「人間」たちに、
・男女の恋愛の尊さ
・子育ての質が、しいては国力に繋がるということ
を伝えた。

これらを人間たちに伝えれば、強い人間たちが満ち溢れ、「良い事」に繋がるだろう、
何せ国が栄える要素にとても深く関わりのある事柄なのだからきっととても大事なことだ、とカラスは何年も頑張った。


...タカミムスビはカラスの行いに短期間で大変満足し、
無事カラスを白い鳥に生まれ変わらせた。
(相当気に入っていたと思われる)


...それが、ミカヅチが可愛がっていた白い鳥であり、
白美香比売命シラミカヒメであった。


第7章:その他「第12節:鳥たちの贈り物 ー 第3話:カエルの物語」


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